若い頃には気がつかなかった“日本の魅力”を再発見。 今は時間が許す限り、日本各地の撮影に出かけています。
――吉村先生といえばカナダやヨーロッパなど、海外で撮影された作品が有名ですが、日本各地を撮影された写真集『Sense of Ja pan』を最近出版されました。そのことについてお聞かせください。


 20代の頃は日本の風景には魅力を感じなかったのですが、4〜5年ほど前から、日本各地を訪れる度に日本の風景にすごく引き込まれていきました。今まで気づかなかった日本の個性が見えてきたのです。それを形にしたのが『Sense of Japan』です。写真展開催と写真集出版を同時に行いました。10月の富士フォトサロン東京に続き、1月には富士フォトサロン大阪でも写真展を開催します。  撮影していて思ったのですが、日本は“お宝の国”です。こんなに面白い国は他にありません。今は完全に外国人の目線になっています。発見する喜びが日本各地にはあります。私の場合は一つのテーマを決めたら同時に撮影機材も決めてしまいます。今回の日本国内の撮影では、今までとは異なる組合せで撮影をしました。そうすることで最後までテーマに合った作品作りができるのです。


廃車となり畑に置き去りにされた小型バス。夕方、気温が急激に下がり、窓にうっすらと霜が付着する。じっと見つめていると、バスに不思議な魂が宿り、今にも動き出しそうな気配を感じた。
■カメラ:EBONY 45S レンズ:NikkorW 135mm 絞り:F5.6 シャッタースピード:マニュアル(f45 1/2) フィルム:フジカラーPRO160NC 三脚使用 撮影地:青森県

 

楽しんでシャッターを押していることが伝わるような作品を期待しています。
――「キタムラフォトコンテスト2009秋冬」腕自慢部門・自由テーマの審査をお願いしていますが、応募作品に期待することやアマチュア写真家にアドバイスをお願いします。

オビドスには、青と黄色で縁取りされた純白の建物が連なっている。アズレージョ(青い装飾タイル)におおわれた門をくぐると、目の前に現れたディレイタ通り。11月の陽射しを浴び、老人がゆっくりと歩いていた。
■カメラ:Nikon D3 レンズ:AF-S Nikkor 24-70mm 絞り:F2.8G ED シャッタースピード:絞り優先オート(f10 1/400)+0.3補正 ISO200 ホワイトバランス:オート 三脚使用 撮影地:ポルトガル


 自由に楽しみながら撮って欲しいと思います。それが写真にも表現され、作品を見る私にも伝わってくるはずです。変に演出するのではなく、とにかく撮影者が心から楽しんでいる写真を見てみたいですね。今のアマチュアの方は、技術的にもかなり上手です。光の綺麗さや色彩の美しさなどをどのように表現するかも見てみたいです。写真が上手くなるにはプリントすることが欠かせません。大きなサイズが理想的ですが、最低限インデックスプリントをして欲しいと思います。貴重な写真の整理をしっかりと記録できます。

――本日はお忙しいところありがとうございました。

 

吉村和敏 写真展
PASTORAL
会期:2009年12月23日(水・祝)まで
会場:阿蘇白水郷美術館

Sense of Japan
会期:2010年1月22日(金)〜1月28日(木)
会場:富士フォトサロン大阪

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