デジタルカメラで、液晶モニターの進化が果たした役割はとても大きいと思います。
――デジタル一眼レフでモニターを見ながら撮影することは、撮りにくいように思えるのですが?

 今の液晶モニターはどんどん性能が良くなってきています。これは自分の感性とカメラをつなぐパイプが太くなってきているということです。コンパクトカメラでもすごくきれいに見えます。以前に比べると撮っているときの楽しさが違います。でき上がりもダイレクトに違ってきます。昔のカメラのファインダーは暗かったのですが、年月をかけて少しずつ明るくなってきました。極端に言えば、こうした今までの50年分のファインダーの進化がここ1〜2年の液晶モニターに相当するくらい、デジタルカメラの技術進化はめざましいものがあります。

 


【白い斜塔】横からのこのアングルから見ると本当に傾いている。有名な観光地はどう撮っても絵ハガキのように写ってしまうのが、むずかしい。
■カメラ:ソニーα700 レンズ:Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA シャッタースピード:1/350秒 絞り:f9 ISO200 撮影地:イタリア ピサ
 

デジタルカメラにはデジタル専用レンズの使用をお勧めします。
すごくシャープに写り、驚くほど描写が優れています。
――現在はデジタルカメラ全盛ですが、早くからデジタルカメラに取り組んでこられた先生から見た、発見や驚きとはどのようなことでしょうか?

【今夜のメニュー】自家菜園で採って来たばかりのみずみずしい野菜達。色や形が油絵のようだ。
■カメラ:ソニーα700 レンズ:Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA シャッタースピード:1/125秒 絞り:f6.7 ISO400 撮影地:イタリア フィレンツェ


 新しい機種には様々な機能が搭載されています。フィルムカメラでは現像後に行っていた補正作業なども、カメラ側で撮影と同時に補正した画像をつくり出すことができます。
 また、いろいろな設定を行うことができるので、微妙な差も自分のイメージ通りに表現することができ、わずかな差をきちんとモニターに映し出すことができるのです。
 昔、徳島の阿波踊りの撮影をしましたが、フィルムだと自分のイメージ通りにいかなかった場合、翌年まで待たなければなりませんでした。しかし、デジタルだとその場で確認できるので、イメージと違っていてもすぐに修正して撮り直すことができます。いいカットが撮れていたことが確認できるとうれしくなり、次のカットも気持ちよく撮れるというような好循環になります。


コンテストの上位に入るには、ただ上手いだけではなく、
人の心を動かす一枚が必要です。
――先生にはキタムラグループ「四季のフォトコンテスト2008・秋」の審査を、昨年に引き続きお願いしますが、アドバイスがあればお聞かせください。

【衛兵の行進】規則正しくみんな足並みがそろっていて、おもちゃのピノキオのよう。スローシャッターにしてブラしてみたら美しいブルーや赤が浮かびあがった。
■カメラ:ソニーα700 レンズ:70-200mm F2.8G シャッタースピード:1/15秒 絞り:f19 ISO100 撮影地:モナコ


 コンテストの応募作品も時代とともに少しずつ変わっています。ただ上手いだけでは面白くありません。やはり見た人が感動する、人の心を動かす一枚が必要です。前回の「四季のフォトコンテスト2007・秋」のグランプリは、両テーマとも人物が写っている作品でした。見るものの想像力をかきたてるドラマ性やストーリー性は、写真においても必要なことです。

――本日はお忙しいところありがとうございました。


 当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。