【雪模様】見上げる唐松の梢にとまって、雪たちがささやいていた。
■カメラ:キヤノンEOS-1V レンズ:EF16-35mm F2.8L 絞り:fオート +0.7 シャッタースピード:1/125 
フィルム:ベルビア 撮影地:新潟県妙高市


【グリーンフラッシュ】雪の白から一瞬にして緑の世界に変わった。
■カメラ:キヤノンEOS-1V レンズ:EF16-35mm F2.8L 絞り:f11
−0.7 シャッタースピード:オート 
フィルム:ベルビア 撮影地:新潟県十日町市


【根開雪】樹が大地に春の訪れを伝えた証。雪が丸く溶けていく。
■カメラ:キヤノンEOS-1V レンズ:EF16-35mm F2.8L 絞り:f16 −0.7 シャッタースピード:オート フィルム:ベルビア 撮影地:新潟県十日町市

好きで進んだプロの道。
しかし写真を撮ることが苦痛になり、アマチュアカメラマンへ逆戻り。


 最初の撮影が中学生の時に、転校する友だちに頼まれて撮った女子生徒の写真。それがきっかけになり、写真の面白さに魅せられていった清水さん。
 「『ザ・ファミリー・オブ・マン(人間家族)』という写真展が新潟で開催されたんです。その写真を見て感動して、報道写真の方面に進みたいと思い、やがて写真を撮ることを仕事にしていました」。
 しかし、撮影の仕事では自分の思いと違ったものを要求される場合も多く、写真を撮り始めた頃に持っていた情熱とのギャップが少しずつ広がってきて、やがて写真を撮ることが苦痛になってしまったそうです。
 「あれほど好きだった写真ですが、休みの日にはまったく撮りに行かなくなりました。これではだめだと、写真を撮ることを仕事にするのはやめようと思いました。ただ、写真が嫌いになったわけではないので、誰にも文句を言われないアマチュア写真家に戻ることにしたのです」。
 やがて公務員(旧豊栄市役所)の採用試験を受け、技師として市役所に勤務されました。
 「その当時は人物を中心に撮っては、県展をはじめコンテストなどに応募し、数多くの入賞を果たしましたが、何か物足りない感じもしていました」。

昔からあるコミュニティ「村」をテーマに
撮影。最初に訪れたのが山古志村。


 そこで清水さんはテーマを絞って撮ろうと考え、まず取り組んだのが『村』でした。
 「私の地元にも都市化の波が押し寄せてきて、次々に田畑が宅地になり始めました。すると人々の生活の中に昔から当たり前のようにあった、近隣同士での助け合いやつながりがなくなってきたのです。それは『村』というコミュニティが崩壊してしまったからです。私は『村』をもう一度見たくなり、それを撮影のテーマにしました」。
 そして、清水さんが最初に訪れたのが新潟県中越地震でその名を全国に知られることになった”山古志村“でした。
 「山古志村は、われわれ同じ新潟県内にいる人間から見ても、雪深く昔の日本の風景が残っているところというイメージがありました。村の人と話をしていると大切なことを教えられます。それは街では消えかかってしまった『人と人のつながり』。撮影を通してこのような人たちに巡り合えることができる、写真の魅力を再発見したのです。それから3年にわたり通い続けました」。
 その後、東京で開催された写真セミナーに山古志村で撮影した作品を出したことがきっかけとなり、銀座のニコンサロンで写真展の開催を勧められ、初の写真展『山古志の人びと』を開催されました。
 「山古志が”山の村“でしたので、今度は
”海の村“をテーマに撮影しました。その作品も銀座ニコンサロンで『越後おかぶりの女たち』として展示することになったのです。その後は2年ほどかけて”川の村“をテーマに撮影し、『阿賀野川流域の人びと』として写真展を開催することになりました。さらに”島の村“ということで、『佐渡の女だっちゃ』を発表しました」。
 4回の写真展を開催したところ、周りの人々からの強い要望もあり、初の写真集『越佐の女』を出版することになったのです。
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