Vol.42 2002 AUTUMN

季節の終焉である秋の輝きを自己表現としてとらえる。
 
自己表現の発表手段として、
写真展の開催や写真集の出版は、大きな意味があります。
(上)【毘沙門沼】福島県の名所。裏磐梯毘沙門沼の秋の風景である。独特の火山性の湖の色合いと、紅葉とのコントラストがたまらなく美しい。PLフィルターを使って、湖の表面反射を除去して撮る。
■カメラ:ミノルタα-9 レンズ:80-200mm F2.8G Sモード シャッタースピード:1/30 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:福島県五色沼・毘沙門沼
―――竹内先生は、以前にも日本のアマチュア写真のレベルは、海外と比べてみても非常に高いとおっしゃっていましたが、この差はどこからきているとお考えですか?
 日本のアマチュアが、そんなにまで風景写真に夢中になる大きな理由の一つは、自己表現をすることができて、それを残すことができる手段としての、写真の魅力に気づいたということではないでしょうか。
 カメラというのは自分の意思で積極的に風景の一部を切り取っていくものですから、その行為を通じて、自分が何が好きなのか、ということに気づいていくことができる、自分を発見することができる素晴らしい道具なのです。歳を重ねても喜びを誰でも体験できる。そういうことが何事にも替えがたいことだということに、みんなが気づいたのではないでしょうか。

―――そうしたアマチュアの方の作品発表の仕方についてなのですが、展覧会を開いたり写真集を出版するということは、なかなか敷居が高いような気もするのですが?
 なにもいきなり豪華な写真集をつくる必要はないんです。お気に入りの写真を10枚ずつプリントして、アルバムに貼った10冊限定写真集でもいいんです。要は自分の予算に応じて、展覧会にしたり、印刷物にするなどさまざまな規模や形で自分の作品を残すことが大切なことです。
カメラのキタムラが店舗内に、お客さんが利用できるギャラリーを併設していることは非常にいいこと。
―――アマチュアカメラマンが気軽に写真展を開ける場所というのが、まだまだ少ないように思うのですが?
 そうですね、これからは、誰でもが気軽に自分の作品を発表できる環境づくりが大切だと思います。カメラのキタムラにはお客さんが利用できるギャラリーが併設されている店舗が全国に100店舗ほどあると聞いていますが、それをもっとアピールして、積極的に活用していただくようにするといいのではないでしょうか。
 カメラのキタムラに行けば、いつでも作品を鑑賞することができて、自分の作品づくりに対する意欲も湧いてくる。そんな場所になればいいなと思っています。身近に気軽に写真展を開ける場があれば、発表するという目的ができるので、撮影する時の意識も違ってくるのではないでしょうか。
(左)【秋の宿】宿泊したペンションの部屋のなかから撮影したもの。屋根に落ち葉が紅葉模様を生み出していた。どんな所でも、秋の風情を撮ることが出来る。
■カメラ:キヤノンEOS-1V レンズ:EF17-35mm F2.8L シャッタースピード:1/10 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:福島県裏磐梯
 
(右)【山の彩り】私の好きな紅葉名所の一つである岩手県の栗駒山。ブナやカエデなど、山腹には落葉広葉樹の樹種が多く、変化に富んだ色合いが楽しめる所。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF28-70mm F2.8L シャッタースピード:1/60 AE フィルム:RVP PLフィルター・手持ち撮影 撮影地:岩手県栗駒山
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