特集
被写体に愛情を注ぎ、気持ちを一つにする。
それが最高のシャッターチャンスを生み出すのです。

■突然のアクシデントが写真家になるきっかけになりました。
●先生は、どのようなきっかけで写真家を目指すようになったのですか?

 私は最初は編集がやりたかったのです。九州から東京に出てきて、知り合いのつてを頼って出版社に入りました。その出版社では月刊誌も発行しておりまして、そのグラビアページでは毎回著名な方に取材をお願いして、カメラマンと一緒に取材に出かけていたのです。何度かカメラマンと一緒に出かけていると、なんだかカメラマンという仕事も面白そうだと思いはじめまして(笑)、それで会社にあったローライフレックスを持って、自分も脇から撮らしてもらっていたのです。

 プロの写真家を目指すようになった直接のきっかけは、ある大女優を映画の撮影所に取材に行ったときのことです。いつまでたっても待ち合わせの場所にカメラマンが来なかったのです。大女優は待ってますし、会社に電話をしてもカメラマンからの連絡は入っていないと言う。困りました。すると編集長が、君はもう長いことカメラマンに付いて取材しているのだから、写真ぐらい撮れるだろうと言うのです(笑)。相手は今をときめく大女優でしょ?私では駄目ですよ、と言うと、とにかく何か撮ってこいと言われました(笑)。仕方がないので自分で撮ることにしたのです。
ちょっと気を抜いたところで、撮られている意識がありません。何気ない仕草にこの人の美しさがあります。順光で補助光はありません。
■カメラ:ニコンF4 レンズ:80〜200mmF2.8 絞り:f5.6 シャッタースピード:1/500秒 
フィルムフジRDP・
 
 
 しかし撮るにしても、私一人しかいなかったのでライティングができません。そこで誰か手伝っていただける方はいませんかと訊ねると、その女優の方が撮影所の若い男の人に声をかけてくれて、手伝っていただくことになったのです。その方が、たまたま映画の照明のライトマンだったのですね。幸運でした。
 そうやって撮った写真を編集長に見せると、いい出来なので使えと言う。それが私の写真家としてのデビューになったのですね(笑)。
 そんなことがあって以来、これなら私も写真家としてやっていけるという変な自信がついちゃいまして(笑)、それから小さなカットなどは、私が撮らせてもらえるようになったのです。
■スターのポートレートを
撮りだしたのも、
アクシデントがきっかけだったのです。
●今でも先生は週刊誌のグラビアで活躍されておられますが、プロデュースやディレクションもされているとうかがいました。最初にグラビアの全てを任せられたのは、いつ頃のことなのですか?

 出版社を辞めてフリーの写真家として活動をはじめた後です。フリーになってすぐに大手の週刊誌を発行している出版社にいた先輩に相談して、担当者を紹介していただきました。それから徐々に仕事をしていったのですが、そのうち自分でグラビアの企画をして、それを編集部に持っていくようになったのです。

 当時はそうしたグラビアの企画を持ち込む方が多かったのですね。毎号15〜16本の企画が集まっていたようです。その中で、私の企画が取り上げられることもあれば、没になることもありました。取り上げられれば、私の自由ですべてやらせていただけます。それを毎週続けていましたね。たくさんいる競争相手を押しのけないと仕事になりませんから大変でしたよ。そこでずいぶん鍛えられました。
波に追いかけられて走ってきます。走り方にも個性があって面白いですね。順光です。
■カメラ:ニコンF4 レンズ:35〜70mm F2.8 絞り:f8 シャッタースピード:1/500秒 フィルム:フジRDP・
照りつける太陽、波の音も気持ちいい。ロングにしてきれいな海も入れ込んでいます。広がりを出しました。
■カメラ:ニコンF4 レンズ:35〜70mm F2.8 絞り:f8 シャッタースピード:1/250秒 フィルム:フジRDP・
高い堀の上にハイビスカスの花と車輪が飾ってあって、ちょっと面白い光景です。この写真では広いイメージがでていませんが、これはレンズでここだけ切り取ったためです。グリーンと赤と白のコントラストです。
■カメラ:ニコンF4 レンズ:80〜200mm F2.8 絞り:f5.6 
シャッタースピード:1/125秒 フィルム:フジRDP・
 
 
 
もどる すすむ

 当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。