まじめなポートレート講座
第三回

■大人数が集まる撮影会ではスポットメーターがオススメ
 入射式露出計というのは露出計の受光部に乳白色の半球(光球という)が付いていて、反射式露出計とは異なりその場所で露出を測るようになっている。つまり反射式のように離れて測るのではなく、露出計を被写体の位置、つまりモデルのいる場所(測ろうとする場所)で測るのだ。そのため逆光条件やモデルの洋服の色に左右されることもなく、正確に露出を計ることが出来る。ただ、モデルのいる場所で測らなければならないというのが大きなネックで、撮影会などのように大勢の人が集まる場所ではきちんと測ることがやりにくいのだ。まあ、プロの場合はモデルと一対一で撮ることになるから、露出はじっくり測ることになるが、アマチュアの場合は出来るだけ少人数の撮影会を狙うべしというのは、少人数の撮影会のほうが露出もきちんと測ることができるということなのだ。
スポットメーター(受光角1度)で顔を測り測光値にプラス2段して撮影した。スポットメーターは必ず補正しなければならない面倒さはあるが、カメラマンが多く集まる撮影会などでは実力を発揮する露出計だ。
■カメラ:ペンタックスMZ-S レンズ:77mm F1.8 絞り:F3.5 シャッタースピード:1/125秒
顔の半分には直射光が当たり、半分は影になる条件である。露出の判断が難しい所だが、ここでは影の露出を測って、明るい感じに撮影した。ポートレートの露出をきちんとするには、まず入射光式露出計を手に入れ、使い慣れることが肝心だ。
■カメラ:ペンタックスMZ-S レンズ:77mm F1.8 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/250秒
 入射式露出計はマメに被写体の位置までいって測らなければならないというネックはあるが、ポートレートを撮るにあたってはもっとも信頼できる露出計なので、ほとんどのプロが使用している。このプロが使用するということは、けしてカッコつけというような意味ではなく、結局それが一番の方法であるということなのだ。

 確かにプロのポートレートの撮り方とアマチュアの撮影会では条件がまるっきり違う。一人のモデルを取り囲んで何人ものカメラマンが撮影するということはプロカメラマンにはあり得ないことだから、プロの方法をそのままマネをしてもいいとはいえないが、プロが知らない簡単で確実な方法というのはまず無いのだ。
入射式露出計はモデルの顎の下当たりで測るのが基本。光球の角度や光の当たり具合によって、測定値は微妙に変わっていくので、自分なりの測り方を身につけることが肝心だ。
 そういった理由でポートレートにおける確実な露出測定方法は入射式露出計だが、大人数が集まる撮影会では、自分だけ近づいて露出を測るというわけにはかないので、撮影会ではスポットメーターがオススメだ。スポットメーターというとカメラに内蔵されているスポット測光と誤解する人がいるが、スポット測光は、スポットメーターほど厳密性はなく、測光する範囲が広くシビアな測定には向かない。極めたい人は受光角1度のスポットメーターにチャレンジしたい。スポットメーターの使い方は顔の一番明るいところを測って、プラス2段の露出を目安とするといい。スポットメーターの欠点は測る被写体の状況によって必ず露出補正をしなければならないことだが、基本的に白いものを測ってプラス2段から2段半と覚えておけばポートレートはなんとかなるはずだ。
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