特集

■パリは冬に素顔を見せます。
その素顔のパリを撮っているのです。
●2年前の「フォトライフ四季」の夏号(Vol.29)では、大山先生のこれまでの活動と、「よさこい祭り」を中心に、夏の写真について、お話をうかがいました。そこで今回は、先生に冬の写真についてお話をうかがいたいと思います。

 私は冬になるとフランスに行くんです。毎年のように行っています。主にパリですね。パリ以外ではプロヴァンスやモン・サン・ミシェル、オンフルールにも足を伸ばします。今年も11月の半ばからフランスに行きますよ。

 もう30年ほど前の話になりますが、私は日本を離れ、パリでファッション写真を撮ったりパパラッチをやったりしていたのです。モンマルトルのそばに住んでいました。パリではどこでも夜になると、早くにお店をしめてしまうのですが、私の住んでいた一角だけは、夜遅くまでお店が開いていたんです。東京の歌舞伎町のようなところですね(笑)。そこに5年間住んでいました。今でもパリに行くと、昔からの顔馴染みのおじさんが、「どこへ行っていたんだ?」と声をかけてくれますよ。別に出かけていたわけじゃないんですけどね(笑)。私にとってパリは第二の故郷みたいなものなのです。
多重露光を使用。一度シャッターを切った後、ピントを合わせずに別なライトを写し入れている。走りすぎる車を映り込ませ、街中の幻想的な雰囲気を出してみた。
■カメラ:キヤノンEOS-1V レンズ:100-400mm 絞り:@f5.6Af5.6アウトフォーカス シャッタースピード:@Aオート フィルム:フジクロームトレビ400 撮影地:パリ、シャンゼリゼ通り
パリの有名なコンコルド広場の大観覧車。夕景をバックにドラマチックにとらえたもの。
■カメラ:キヤノンEOS-1V レンズ:100-400mm 絞り:f8.0 シャッタースピード:オート AEB露光 フィルム:フジクロームトレビ400 撮影地:パリ、コンコルド広場
 
 
 
●パリの、特に冬という季節を選ばれているのには、何か理由があるのですか?

 夏は観光客が多過ぎて、素顔のパリ、本当のパリの姿を撮ることが難しいのです。パリにだって日常はあるわけで、よその土地から来た者が闊歩していたのでは、その日常の生活や風景がわかりづらくなってしまいます。飾らないパリ、自然なパリの風景に出会うには、観光客のいない冬の方がいいのです。
 それと、一年がんばった自分へのご褒美として、今年もパリのおいしいワインを飲ませてやろうか、という気持ちもありますね(笑)。

●パリの、特に冬という季節を選ばれているのには、何か理由があるのですか?

 夏は観光客が多過ぎて、素顔のパリ、本当のパリの姿を撮ることが難しいのです。パリにだって日常はあるわけで、よその土地から来た者が闊歩していたのでは、その日常の生活や風景がわかりづらくなってしまいます。飾らないパリ、自然なパリの風景に出会うには、観光客のいない冬の方がいいのです。
 それと、一年がんばった自分へのご褒美として、今年もパリのおいしいワインを飲ませてやろうか、という気持ちもありますね(笑)。
〈上〉お馴染みの凱旋門。有名なシャンゼリゼ通りから撮ったもの。この方向を撮った写真は、読者のみなさんも観光ガイドなどで、よく見かけることと思う。
〈下〉もう一枚は、その逆の方向を撮ったもの。見開きで紹介したコンコルド広場の観覧車が見える。シャンゼリゼ通りの真ん中にある、ほんの小さな一角に三脚をたてて撮った。危険なので皆さんは真似をしないように。
■カメラ:キヤノンEOS-1V レンズ:100-400mm 絞り:f8.0 シャッタースピード:オート AEB露光 フィルム:フジクロームトレビ400 撮影地:パリ、シャンゼリゼ通り
●冬のパリでは、先生はどのような被写体を狙うことが多いのですか?

 
夜のイルミネーションをよく撮ります。パリは日本で言うと、緯度的には北海道の旭川くらいの場所なんです。日が暮れるのが早く、朝は遅い。夜の時間が長くて昼が短いのです。また昼間でも曇りの日が多くて自然光が弱い。雨もよく降ります。それも日本の雨と違って、シトシトと長く降り続く雨なんです。傘がいらない程度の雨ですね。天候に関してのみ言えば、とても撮影に恵まれているとは言えません。
 曇天が多いですから、夜も自然光では長時間露光でないと撮れません。しかしパリでは、夜になると大量のイルミネーションが灯るのです。それがとても美しい。シャンゼリゼ通りは日本でもよく知られていると思うのですが、まるで光の洪水です。この人工光に輝くパリを撮影するのです。
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