まじめなポートレート講座
第一回 新連載

■大きい撮影会よりも少人数の撮影会を狙おう
 ポートレート撮影会というとどうしても大きい大会のほうがにぎやかだし、モデルの参加人数も多いので良いような錯覚をしてしまう。ところが大きな撮影会ではどうしても参加人数が多いからモデルもすべての参加者に集中するわけにもいかないし、撮影場所も限定されることが多く、なかなか思ったように撮影できない場合が多い。

 アマチュアがポートレートを撮影するときに、どうしてもズームレンズになってしまうのは参加者が多くなりすぎると、撮影場所が限定されてしまうので、一度立ったら動けなくなってしまうからだ。写真は本来なら近づいたり離れたりしながらフレーミングを決めるべきものだが、撮影会の規模が大きくなればなるほど、自由が利かなくなるので、大きい撮影会は不利な点が多いのだ。

 では、大きな撮影会はマイナス点ばかりかというと、ちゃんといいこともある。撮影会に何度も参加していると、いろいろな人と知り合うことができ、仲間を増やすことが出来るのだ。ポートレートは基本的にモデルと一対一で撮ることが理想だが、現実的にそれは難しいといってもいい。しかし、仲間が集まれば小規模の撮影会を行うこともできるし、いろいろと情報交換をすることもできる。小規模の撮影会では、きちんと三脚を使うことも可能だし、交代でレフを持てば、より理想的な撮影環境を作ることも可能だ。
雨が降り続いていたので喫茶店の中で撮影。
ほぼ最大級の明るさを持つレンズだが、ピント合わせは難しい。しかし難しさを克服していくことで、写真はもっと面白くなるのだ。
■カメラ:ペンタックスMZ-S レンズ:50mm F1.2 絞り開放 シャッタースピード:1/10秒
〈左〉このレンズはボケが最大限美しくなるように設計された特殊なレンズ。基本的に微妙な問題だが、ズームで撮ったものと比べるとやはり美しいボケが得られている。
■カメラ:ミノルタα-9 レンズ:ソフト135mm F4.5 絞り:f4.5 シャッタースピード:1/50秒
〈右〉最新のズームレンズはピントもシャープで満足感が得られるが、綿密に見ていくとやはり単焦点レンズにはかなわない部分がある。自分自身が上達するためには大口径単焦点レンズを使って欲しい。
■カメラ:ミノルタα-7 レンズ:24〜105mm F3.5〜4.5 絞り:f4.5 シャッタースピード:1/50秒
 たった一人でモデルがいないからポートレート撮影は出来ないとボヤいていても、仲間がいれば、自分一人では出来ないことも可能になってくるのだ。サンダーが写真コンテストの審査をしていて、ポートレートが上手なアマチュアに聞いてみると、上位に入賞する人はたいてい小規模な撮影会に参加して作品作りをしているということだ。つまり、大きな撮影会では、同好の士が集まるのだから仲間を見つける最大のチャンスなのだ。このことは写真を撮る以上に価値のあることなのだ。

 サンダーがモデル撮影をするときは、基本的に写真を撮るのはサンダーだけで、撮影会とはかなり雰囲気が違う。モデルを占有するということは、撮影ポジションも自由に選べるし、背景も完全に自由だ。しかし、そういった状況を完全にマネをしろといっても、それはかなり難しい。

 だから、小規模な撮影会に参加せよといっているのだ。小規模な撮影会なら、一対一で撮るのと完全に同じにはならないが、かなり近いことが出来るようになるはずなのだ。そして自分の腕を磨くこともできるし、良い作品もできるようになるはずだ。
(続)
 
 
 
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