特集

■タスマニアのような自然環境は、
日本でも実現できると思います。
●先生は昨年よりタスマニアの作品を多く発表されているように思うのですが、今後はどのような展開を予定されているのですか?

 タスマニアに関しては、写真集を出版し、新宿で150点の写真展を開きました。一つのステップは越えたように思います。
 タスマニアは私自身の心が安らぐ素晴らしい地域なので、何度でも行きたいですね。また、自分の理想としての未来、人類の未来がこのようであったらいいなという思いを込めてタスマニアを撮っていますので、今後も作品を発表し続けていきたいと思っていますが、次のタスマニアの作品の発表については、一拍置いて、もう少し通ってから考えようと思っています。
紅葉が終わり葉が落ちて、紅い実が残された。小さい粒の実だが、一生懸命存在を主張しているようであった。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF180mm F3.5 マクロ シャッタースピード:1/30 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:長野県安曇村
●先生のおっしゃるタスマニアの「未来の写真」ということについて、もう少し詳しくお話しいただけますでしょうか。

 私は人間が理想とすべき未来像というのは、コンピューター化が今よりもっと進んだり、便利な交通手段ができたりといった、単に物質面で恵まれた社会ではないように思うのです。この豊かな地球の自然環境と共存できる社会が理想ではないでしょうか。また、そのようにあってほしいと思っています。

 私の撮っているタスマニアの風景というのは、「未来の写真」といっても、ごく日常的なタスマニアの風景です。そうしたタスマニアの日常的な穏やかな暮らしが、自然と調和し、共存しているように思えるのです。そのことが素晴らしいし、また、そうした環境がいつまでも持続してほしいと思っています。

 日本列島の自然も調和がとれていて、人にやさしい恵まれた環境なのですから、タスマニアのような環境が、日本でも実現できるのではないかと思いますし、また、日本の未来がそうあってほしいとも思っています。そのことを、これから日本で生きていく人たちへのメッセージとして、写真に含ませてもいます。
東の空を見事に染めて、美しく輝いてくれる朝の光。幾層にも連なる雲の波。しばし、荘厳な雰囲気に包まれた。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF70-200mm F2.8L シャッタースピード:1/30 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:栃木県那須高原
紅葉の色合いを、正しく抽出するにはPLフィルターが有効である。PLフィルターで背景の表面反射を除去して、本来の色を引き出すのだ。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF300mm F2.8L シャッタースピード:1/60 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:北海道上士幌町
 
 
 
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