新・メーカー探訪

屋外撮影での使い勝手を重視し、
ユーザーの支持を獲得。

 ペンタックス645から「スーパーフィールドカメラ」のコンセプトを継承した645Nは、当然のことながら風景など屋外での撮影に適した設計がされている。例えば屋外でも見やすいアイレベルファインダーの採用や、三脚撮影のために縦位置用・横位置用ふたつのネジ穴が設けられているのがその現れだろう。また手持ち撮影の場合でも、グリップのホールディング性が縦・横どちらでも握りやすいように工夫されている。

 「645のボディに何種類か試作したグリップを付けて、何人もの人に握ってもらって意見を聞きました。やはり縦と横では持ち方が変わるので、あまりぴったりと手の形に合わせてしまわずに、どちらでもしっかりと手に掛かるようにすれば、最も使い勝手が良いのではないかと考え、この形になりました」と話すのは、工業デザイン室の藤井明夫氏。握りやすさを重視したため、グリップ部分は最初の予定よりも若干大きくなったが、それ以上の使用メリットを与えることができたという。

旭光学工業(株)工業デザイン室
藤井明夫氏

「屋外撮影や風景写真以外の用途に合わせた機能を搭載すると、その分大きく、重くなってしまうので、このカメラに関しては、より屋外撮影向けの使い勝手に絞った設計になっています。カメラショーに645Nを出品しても、我々が意図したとおりに屋外での使用をお考えの方には100%ご満足いただいていると思います」と第二開発設計部の川上聡一郎氏は語る。

 こうしたスタッフの自信が示すとおり、645Nは当初の販売予定の2倍以上という好調な売れ行きを達成し、現在生産が追いつかないような状況だと聞く。今まで中判カメラを扱ったことのない皆さんも、35mm感覚の645Nで、中判による風景撮影にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

旭光学工業(株)第二開発設計部
川上聡一郎氏

●ボディ正面
耐久性に優れ、レンズ交換も素早く容易なAFマウント。その奥にあるフォーカシングスクリーンは、撮影スタイルに合わせて交換が可能。
●ボディ背面
ファインダーの左右にあるAFモード切り替えレバーとAFエリア切り替えレバーは、撮影中に親指で操作可能。グリップ右上のメモリーロックボタンで露出値の記憶ができる。
●ボディ左側面
右下の多重露出レバーを設定すれば、何度でも正確な多重露出が行なえる。中心部左側のネジ穴は三脚の縦位置取り付け用のもので、風景撮影などに役立つ。
グリップ上部には大型LCD表示パネルを搭載。フィルム感度とフィルム枚数を中心とした常に把握しておきたい重要な情報を、大きく見やすい文字とマークで表示。