カメラを片手に春の野山を歩く
南北に縦に長い日本の春の訪れは、その地方によってかなり様相が異なりますが、ひと雨ごとに暖かさが増し、寒さに縮こまった動植物が動き出す季節の風情に変わりはありません。そうした春の息吹から、私たちは時には生命の可憐さを、また時には生命力の力強さを感じ取ることができます。写真を愛する人たちにとっては、春の野山は被写体の宝庫なのです。
そこで今回は、カメラを片手に春の野山を散策する際に、必要となるもの、用意していくと便利なもの、また撮影のポイントなどを紹介します。
まず、野山を歩くのですから、当然のことながら持参するカメラやアクセサリーなどは、できるだけコンパクトにまとめます。いくらコンパクトにまとめようとしても、あれも撮りたい、これも撮りたいと欲張ると、自然と大荷物になってしまいますので、できれば出掛ける前に、何を撮るかをある程度決めておくとよいでしょう。景色を中心に撮影するのか、植物に焦点を当てるのか、といった程度は決めておきます。
カメラは、春の野山を背景にして、人物を入れたポートレートを撮るのであれば、コンパクトカメラでも十分なのですが、たとえば小さな花を接写で大きく写したい、またボケを使って春の暖かな雰囲気を出したい、というのであれば、やはり一眼レフが便利です。
一眼レフカメラには交換レンズばかりでなく、フィルター、コンバーターなどのアクセサリーも豊富に揃っていますので、撮影に変化をつけることができます。そこでこうしたレンズやアクセサリーのポイントを、風景写真を撮影する場合と、接写の多い草花の撮影をする場合とに分けて挙げてみます。
風景写真を中心とする場合
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フィルター未使用 |
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ケンコーMC UVフィルター使用 UVフィルター1枚が写真に差をつける |
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●レンズ
ズームレンズが圧倒的に有利です。広い景色を撮る機会が多いので、28〜70mm、70〜200mmの2本を用意しておくと、ほとんどの条件をカバーできます。
●フィルター
青味(紫外線)をカットするUVフィルターと、色彩のコントラストを高めるPLフィルターは常備しておくとよいと思います。この2枚のフィルターは風景写真をシャープにしてくれますので、まだ使用したことのない方は、ぜひ一度利用してみてください。特にUVフィルターは常用としてもいいでしょう。
●ストロボ
逆光で撮影する場合、あるいは花や枯れ木などを前面に、大きくダイナミックに入れて撮影しようとする場合などに、しばしばバックが明るすぎることがあります。こうしたときの補助光としてストロボを用いますが、カメラに内蔵されているのであれば、特に用意する必要はありません。
●三脚
どのような撮影を行う場合にも、三脚は常に持参するようにしましょう。三脚があれば、シャッタースピードを遅くしても安心ですし、望遠レンズを使用した場合に手ブレを気にすることもありません。
三脚は重いので敬遠したい方には、一脚のご利用をお勧めします。三脚にはかないませんが、手持ちで撮影するよりは、はるかに安定した撮影を行うことができます。
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