| 総評: |
久野 脩氏 |
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審査委員長・総本部理事、西部本部委員 |
恒例の春の撮影大会は、長崎県の雲仙・普賢岳噴火から11年を迎えた島原市内で開催した。午前中は水無川河口近くに建設された「島原復興アリーナ」と「雲仙岳災害記念館」周辺で緑のよみがえりつつある普賢岳や近代的建築施設を背景にモデル撮影、イベント撮影を行い、午後は市内に舞台を移し、島原城や武家屋敷で撮影を行った。
この撮影会は、果敢な勇気で復興に寄与されている現地の方々への敬意と今後の努力に大きな声援の意を込めて朝日新聞社が後援する全日本写真連盟西部本部が開催した。
島原半島と言うやや不便な場所での開催に参加者数が不安ではあったが、同撮影会の趣旨に多数の写真愛好家の方々が同意下さり、大成功の撮影会であった。また、700点を超える応募数に達した。
モデルは長崎国際観光コンベンション協会の協力で、ロマン長崎の7人。加えて、島原風人会のユーモラスな「ひょっとこ踊り」、平戸風神社中の勇壮な「田助ハイヤ」の特別参加を頂き、撮影会は盛り上がった。
勢い同じような被写体の作品が多く集まるのでは、と心配したが、結果はバラエティーに富んだ春の撮影会らしい作品が多く集まった。
作品の優劣はカメラアングル、トリミング、シャッターチャンスで決まる。特に重要なのはシャッターチャンスだ。頭脳で感知して指先に指令が届く反応速度は人それぞれ違うが、全盛の一眼レフカメラはシャッターボタンを押してからシャッターの開くタイムラグはライカなどのようなレンジファインダーカメラに比べると遅いのでどうしてもシャッターチャンスを逃がす時が多い。被写体の動きを事前に予知してしっかりとしたピントでシャッターを押す訓練が必要だ。動きの速い被写体はもちろん、静止したモデル撮影でも微妙な表情をいかにとらえるかは日ごろからの訓練が必要。シャッターチャンスの良しあしが作品の優劣を決める。最近、ワイドサイズの作品が多いが、大きくすれば画面に迫力が出せると勘違いし、逆に間延びさせてしまった作品が目立つ。もっとトリミングに一工夫されると作品の評価が上がるものも多く見受けられた。 最後に、昨年の撮影会からモデルと一般の2部門の募集となったが、今回はイベントが加わり応募部門に悩まれた方々もおられたようなので、来年の課題とした。 |