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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2016.01.22【Vol.253】

クラシックカメラ話「パープル35(Purple35)」

パープル35(Purple35)

今回のカメラは少し変わったカメラです。なぜなら、このカメラに関する情報が少なく、持ち合わせのわずかな資料と所有する実機を照らし合わせながらいろいろと見ていかなければなりません。

ご紹介のカメラは1953年ごろから1956年ごろにかけて販売されたパープル35というカメラです。当時銀座にあった二宮淳氏の千代洋行というところが発売元となっています。実質的な生産台数は不明ですが、およそ500台程度とする資料があります。また、前期型と後期型に分かれ、ご紹介の1台は後期型のようです。

搭載されるレンズはジンコールC(ZINKOR-C)45mm F3.2。金属製のボディーで重量は約550g、横長八角形のデザインでバルナックライカのように底蓋着脱式の35mm判カメラです。ビハインドザレンズシャッターとなっており、レンズはねじ込み式で着脱可能。交換レンズを使用するわけではなく、搭載される標準レンズに専用のテレフィックスと呼ばれるテレコンバーターを装着して80mm F5.6(当初は70mm)の望遠撮影を可能にしたり、中間リング(1.5feetと1feetの2種)によって最大約26センチまでの接写を行うためのもののようです。

望遠撮影時の視野枠は専用フレームをファインダー前部に差し込む方式となっています。シャッター速度はB,1/25 1/50 1/100 そしてVの5速です。Vに設定すると、シャッターを押す力加減(速さ)に応じておよそ1/25以下のシャッター速度を切れるようになっています。また、巻上げとシャッターチャージは連動しているので二重写しは防止されます。レンズ周辺部や巻き戻しノブの横に突起が着いていますが、レンズ周辺部の突起の用途は不明、巻き戻しノブ横の突起は専用フラッシュガン装着用のものとされます。

新しいカメラが登場しては消えを繰り返した時代の只中にあったパープル35。金属製のしっかりした本体に独自のシャッター機構を備え、専用の付属品も用意され、果たしてどのようなユーザーに販売されていったのでしょうか。パープル35のような運命を持ったカメラはまだまだ世の中に眠っているかもしれません。


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