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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2013.11.08【Vol.141】

クラシックカメラ話 「SUPERB (スパーブ)」

スパーブ

レンズ繰り出し

スパーブはドイツのフォクトレンダー会社から戦前に2機種発売された二眼レフカメラのうちの1台です。もう1台は1932年から戦後1951年ごろまで生産されたブリラントという二眼レフで、ソ連製のルピテルという二眼レフの基になったカメラです。

一方のスパーブは1933年から1938年ごろまでのおよそ5年間だけ生産されたカメラです。搭載されたレンズはAnastigmat Skopar 1:3.5 /7,5cmおよびHeliar 1:3.5 /7,5cmの2種類です。シャッターはリムセットコンパー、T、B、1~1/250sec ですので当時としては最高クラスのレンズ、シャッターが搭載されていたことになります。デザインはシンメトリーで均整のとれたボディーです。フォクトレンダー会社があまり二眼レフの開発に熱心ではなかったのか、スパーブとブリラント以外に二眼レフを登場させることはなかったのですが、構造や操作部分において二眼レフの代表ともいえる同じドイツのローライとは一風異なっています。特にスパーブはフォクトレンダーらしい独自性を持つユニークなカメラと言えるでしょう。

ボディー上下にレンズが搭載されることの多い二眼レフですが、その撮影レンズとビューレンズとの間隔があることで、特に近距離撮影における視差(パララックス)が大になってきます。その視差を解消するために、近距離撮影時にビューレンズが斜め前方にせり出す構造がとられています。スクリーンマスクの移動による簡易的な視差矯正はローライフレックスでも採用されていますが、レンズごとせり出す機構は独特です。ファインダーレンズがレンズの繰り出しに合わせて動くカメラは他にもありますが、当時の二眼レフとしては画期的な機構といえるでしょう。また、撮影姿勢が真上から覗き込む様子になってしまう二眼レフならではの特徴を利用して、シャッター速度、絞り、撮影距離などの各種数値がすべて真上から確認できるように工夫されている点にも感心します。

独自性の高い機構もすばらしいのですが何よりも使う人のこともちゃんと考えた上での機構という点がこのカメラの特に優れている点なのではないでしょうか。


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