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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2012.11.09【Vol.089】

クラシックカメラ話「ローライ35」

ローライ35はドイツブラウンシュバイクにあったフランケ&ハイデッケ社が造った、小型カメラの名称です。幅約9.7センチ、厚さ3.2センチの小型ボディーで35mmフィルムを使用し、24×36mmフォーマットの撮影画面を実現した画期的なコンパクトカメラでした。各所にプラスチック部品を積極的に採用していますが、外装及びボディー自体は金属が使われているので370gと大きさの割にはずっしりしています。フィルムカメラで最大のメカニカル部分であるシャッターはレンズシャッターの一流ブランドであったCompurを採用し、レンズはCarl Zeissのテッサーレンズ、露出計はGossenのCdSメーターを採用と当時の最高級ブランドの部品及びレンズで構成された、今で言う高級コンパクトカメラです。

ローライ35は、設計者のHeinz Waaskeという人が1962年ごろから自身の自由時間に設計を始めたカメラでした。試作カメラの段階で、後のローライ35と同様の露出計内蔵、沈胴式レンズ、わかりやすいシャッターダイヤルと絞りダイヤルの配置などの基本設計は決まっていたようです。設計、試作を繰り返し、ほぼ基本形が出来上がった1965年ごろに「Rollei 35」というネーミングが決まり、そして1966年9月のフォトキナ66の会場でローライ35は初めて発表されます。その発表に35mmフィルム使用の小型カメラとして当時世界トップであったライツ社には衝撃だったようです。日本のオリンパスが1959年に発売したオリンパスペンは35mmフィルム使用のハーフサイズ(18×24)カメラで、ゆえにカメラの小型化に貢献していました。それがドイツのローライブランドで35mmフルフレームの超小型カメラが発表されたわけです。ライカと同じサイズの画面をボディーサイズ約半分のコンパクトなカメラで撮影できるということは脅威に感じたことでしょう。ただしローライ35はライカと違いシステムカメラではありません。レンズ交換はできず、アクセサリーもライカに比べれば少なく距離計も付いていないので、あくまでスナップやメモ代わりとしての使用に重宝されたカメラでした。機能やレンズを変更するなどしてモデルチェンジを繰り返し、フォトキナで発表された翌年の1967年から1983年頃までに8種類のモデルが登場、およそ200万台程度販売されました。

当時のカタログなどを見ると女性の手のひらに乗せて、コンパクトさをアピールする宣伝をしていたりすることから、女性ユーザーもターゲットにしたカメラだったのかもしれません。世界にはたくさんのカメラがありますが、女性をターゲットにしたカメラはいくつかあります。中でもローライ35はその販売台数からして見事に成功したカメラといえます。どうやら小型でかわいらしい形のカメラはいつでも女性に人気の機種になるようです。

ローライ35

ローライ35