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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2012.09.21【Vol.082】

収差の話 その2

収差の話その1で述べたように、収差とはレンズを通った光が理想とされる一点に集まらず周辺に散らばったりして画像に現れる色ズレ、歪みのことをいいます。

もっともわかりやすいのは画像の歪みがでる歪曲収差で広角レンズなどを使用した際に経験される方も多いと思います。収差にはザイデルの5収差と2つの色収差があるのですが、今回は2つの色収差について簡単にお話します。

光はそれぞれ波長(色)が異なっており、レンズを通る際に屈折率が違いピントにずれが生じてしまいます。これを「軸上色収差」といいます。これは出来上がる像の鮮鋭さが低下して、結果画質が悪く見えてしまいます。長焦点距離のレンズほど、この収差が目立ってくるようですが、現在ではレンズに特殊硝材(蛍石など)を使うことでこの軸上色収差を軽減することが出来ています。一方、色によって像の大きさに違いが出てしまい(焦点距離に違いが出てしまう)、特に画面周辺部において、例えば建物の線の輪郭に色の付いた縁取りがされたように見えてしまう色収差を倍率色収差と呼んでいます。絞りをレンズの中心に配置した対称型のレンズ構成(ガウスタイプ)であれば、倍率色収差が補正されるのですが、現代のズームレンズでは設計上厳しい構成ですので使われていません。

そのどちらの収差についても、レンズの光学系によるところが殆どなので、レンズの絞りを絞り込むことによる改善は見られません。ただ、現在のデジタルカメラでは、フィルムの頃と違い、画像処理の段階でこの色収差を補正することができるようになりました。

実際には、PC上にて画像を高倍率で拡大してみないと発見しにくい色収差なのですが、とくにコントラストの高い被写体の場合に目立つことが多いようです。また、レンズの価格の差もこういった部分にあらわれてくるのかもしれません。ただし、色収差の出かた自体は言い換えてみればそのレンズならではの個性ともいえるでしょう。とりたてて気にすることでもなく、どうしても気になるのであれば、PC上で補正が聞くようになったので、難しく考えなくてもいいでしょう。まずは一度色収差がどんなものなのか、気になる方は一度画像をチェックしてみてはいかがでしょう。

全体画像

全体画像

輪郭に赤と緑の色収差

輪郭に赤と緑の色収差