池に落ちたソメイヨシノの花びら。デリケートな表情を出すため高輝度側・階調優先機能を使って撮影した。
カメラ:キヤノンEOS 5D MarkII レンズ:24-105ミリ 絞り:f5.6 シャッタースピード:1/640秒 撮影地:東京都練馬区 武蔵関公園

桜のまわりを歩いていろいろなアングルから撮影


 桜の撮影地で、よく一ヶ所だけで撮影している方を見かけます。ひとつ決めた場所から撮り続ける方法もありだとは思いますが、可能であれば桜のまわりを歩いていろいろなアングルから撮影した方がいいと思います。桜は見る方向によって様々な表情を見せてくれるので、一ヶ所だけで撮るのはもったいないことだと思います。
 私の場合は桜のまわりを見て歩きながら、この後の光線の変化や雲の動きなどをシミュレーションして、どこから撮るのがいいか決めて撮ります。それにより無駄なく多くのカットを撮影することができます。


ダイナミックレンジを拡大して、
白とび・黒つぶれ補正でデリケートな桜の花を表現


 デジタルカメラはフィルムに比べるとデリケートな階調表現にウイークポイントがあると思われているようです。特に白とび・黒つぶれを気にされる方がいますが、それほど気にする必要はないでしょう。しかし、桜の撮影でソメイヨシノは白っぽい花なので、白とびさせたくありません。桜の花びらが白とびしてしまうといい写真にはならないからです。今のデジタルカメラには、ダイナミックレンジを拡張して白とび・黒つぶれを抑えて階調を滑らかにする機能を搭載したものもありますので、その機能を使うことでデリケートな表現が可能になります。※(注) このような機能が付いたカメラであれば、フルにそれを使いこなすべきです。


高感度ISOにより変わる撮影スタイル


 最近はISO感度が高感度側に上がり、ライトアップされた夜桜など明るめのレンズであればISO感度1600や3200に設定して手持ち撮影することが可能です。※(注) 今まではライトアップされた夜桜をきれいに撮ろうと思うと、どうしても三脚が必要でした。夜桜はお花見をしている人がいる場合が多いので、そのような場所で三脚を使用することは非常に迷惑な行為でした。写真家のマナーとしても褒められたものではありません。しかし、手持ち撮影が可能になったことで、一般の方に迷惑をかけることなく撮影が楽しめます。ましてや今は手ブレ防止機能もついています。


撮影状況の光源に合わせる、イメージを強調する、
ホワイトバランスの設定次第で変わる表現


 様々な撮影状況に対応できるオートホワイトバランスは便利なモードですが、風景写真の場合は撮影状況に合わせた設定を基本とすべきです。さらに、ホワイトバランスの数値を意図的に上下することで「青み」「赤み」が強調されてイメージを変えることもできます。※(注) これらはまさにデジタルカメラの最大の特長ではないかと思っています。


最新デジタル機能

※(注)

■ダイナミックレンジ拡大

 〈白とびを抑えて滑らかな階調を表現〉
 キヤノン:高輝度側・階調優先機能、オートライティングオプティマイザ
 〈暗部を持ち上げて滑らかな階調を表現〉
 オリンパス:階調オート  ソニー:Dレンジオプティマイザー
 ニコン:アクティブD-ライティング
 〈白とび/暗部両方の機能で滑らかな階調を表現〉
 ペンタックス:D-Range補正

■高感度ISO

 高感度ISO(1600〜3200)で夜間の手持ち撮影が可能

■ホワイトバランス

 ホワイトバランス(色温度)調整でイメージを強調


カメラを縦位置に構え、山の斜面に訪れた春、そして霧の表情を入れながらスケール感を出した一枚。
カメラ:キヤノンEOS 5D MarkII レンズ:24-105ミリ 絞り:f16 シャッタースピード:1/2秒 撮影地:東京都奥多摩町
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