退院してすぐに1年後の写真展の依頼がありました。新作で開催したいと思い、撮影活動を開始しました。
――昨年12月にキヤノンギャラリー銀座で退院後初の写真展を開催されました。そのことについてお聞かせください。


 2007年11月に退院してすぐに写真展開催の話がありました。聞いてみると、スケジュールは翌年の暮れということです。実は退院した当初は、とても撮影ができる状態ではありませんでした。しかし、どうせ開催するなら過去の作品ではなく、新作を発表したいと強く思ったのです。
 そのために2008年5月から撮影を始め、11月までに撮影した作品で構成しました。もし1年間撮影したものでまとめられたら、もっといい写真展になったと思います

――そのお話を聞いたとき、昭子夫人はどのように思われましたか?

 その時点では今のように回復していなかったので、新しい作品ではなく、当然今までの作品で開催するのだろうなと思っていました。まさか全て新作で開催できるとは夢にも思わなかったのです。
 退院しても“写真を撮りたい”ということは言っていなかったのですが、春過ぎくらいからそう言うようになりました。もし写真展が決まっていなかったら、それほど多くの撮影はしなかったと思います


【夏富士】富士山は、かなり離れた所からでもしっかりとその姿を確認する事ができる。その中でもバランスの良い場所を探し、その時の気象条件を生かして撮影したもの。
■カメラ:キヤノンEOS-1Ds MarkV レンズ:EF300mm f/2.8L IS USM 絞り:22.0 シャッタースピード:1/60 -2/3補正 ISO感度 100 PLフィルター・三脚使用 撮影地:山梨県北杜市

不自由な体の中で自分なりに納得のいく撮影方法を確立し、
今では被写体を見た瞬間に撮り方をイメージできます。
――以前の撮影活動と比べて大きな違いはありますか?

【猪苗代湖】夕暮れの猪苗代湖西岸にでた。遠方の東岸の中心にあるのが磐梯山、その上には黒雲が重苦しくのしかかっていた。
■カメラ:キヤノンEOS-1Ds MarkV レンズ:EF24-105mm f/4L IS USM 絞り:13.0 シャッタースピード:1/30 -2/3補正 ISO感度 100 PLフィルター・三脚使用 撮影地:福島県猪苗代湖磐梯山

 


自分が立ち上がって撮影することができないので、車椅子や折りたたみ椅子に座っての撮影になります。三脚を立ててその後ろに座らなければならないので、どうしても通常の撮影よりも多くのスペースが必要になります。道幅が狭いところなどでは車の通行の邪魔にもなりますので、せっかくいい撮影ポイントを見つけても撮影できないこともありました

――制約ある中での撮影にジレンマなどはなかったのでしょうか?

 最初の頃はいろいろと試行錯誤する中で、それなりの方法を見つけて撮影していました。何回か撮影をするうちに、被写体を見た瞬間にどのように撮ったらいいのかは瞬時にわかるようになりました。

 

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