これまでキタムラは各種フォトコンテストの主催・協賛、情報誌・写真誌の発行、写真教室・撮影ツアーの運営など、写真文化の向上に取り組んできました。ギャラリー開設にあたり、キタムラだからこそ考えたこと。それは「写真1枚の存在の大きさを再認識できる場をつくりたい。新宿から世界へ!キタムラはデジタルの良さも銀塩の良さも両方を知っている。新しい世代の写真文化を発信していきたい」。オープニングから約2ヵ月が経ち、フォトギャラリーキタムラの最前線で精力的に活動されている岡村浩館長にお話を伺いました。






「やって良かった」「またやりたい」と思っていただくことが大事。

――フォトギャラリー キタムラ開設の目的はどのようなことですか。

 写真文化の向上というと大げさになりますが、写真愛好家の方に写真を展示する楽しさ体験してもらうことです。確かにアマチュアにとって写真展の開催というと、審査の基準が厳しくて敷居が高いように思われがちですが、当ギャラリーでは「みんなが楽しく写真展を体験できること」を主な目的としています。ご利用いただいた方に「やって良かった」「またやりたい」と思っていただくことが大事です。
 写真展を開催する際、皆さん最初は遠慮して、恥ずかしがっていることが多いもの。ところが一度体験してしまえば、その魅力にとりつかれてしまいます。ギャラリーの雰囲気やスポットライトに照らされた自分の作品を見てしまうと、やめられなくなってしまうものです。私どもではこれを『ギャラリーマジック』と呼んでいます(笑)。
 今は各地で写真教室の開催が盛んです。そのような写真を学んでいる方の発表の場としても利用していただければと思います。写真を人に見てもらうことは、作者の技術向上にもつながります。人に見られることで、「ヘタなものは出せない」「いい写真を撮りたい」という意識が出てくるのです。実はこのことは、写真を撮る方だけでなく、プリントをする現場の技術向上にもつながるのです。一生懸命撮られた写真をきれいに仕上げなくてはいけないという使命感が生まれます。このように写真展を開催することを通じて、写真を撮る方とプリントをする側の双方にいい相乗効果が出てきます。
 こちらでは展示作品のプリントを、キタムラグループのラボネットワークで行なっています。ラボネットワークは二科会指定のラボにもなっていますので、きっとお客様の満足いく仕上がりになると確信しています。

緑豊かな新宿御苑が目の前にあり、
道行く人が気軽に入れる雰囲気が自慢。


――オープンから約2ヶ月が過ぎましたが反響はいかがですか。

 オープニングから「竹内敏信先生」「丹地敏明先生」「沼田早苗先生」といった有名な写真家の作品展示を行なえたことが大きかったです。数多くの来館者が訪れました。また、各先生方もちょくちょく顔を出してくださったので、その場に居合わせたファンの方には大層喜んでいただけました。
 来館された方はもちろん、先生方にも場所がいいと言っていただいています。緑豊かな新宿御苑を目の前にして、道行く人が気軽に入れる雰囲気が好評です。角地の1階にあるのが大きな理由のようですね。広さも大き過ぎず手頃な感じと言っていただいています。お昼休みの時間帯には近くのサラリーマンの方がよくお見えになるなど、すでに常連の方もいるんですよ。
 それにこの近辺にはギャラリーが何ヶ所かありますので、ギャラリー巡りをされる方もいらっしゃいます。近くのギャラリーからも「お客さんが増えた」という声を聞いています。また、新宿御苑は撮影スポットとしても有名ですので、撮影の前後に訪れる方も数多くいらっしゃいます。そのような方には三脚やバッグを受付でお預かりして、ゆっくりと鑑賞していただいています。

アマチュアの方に発表の場を
提供し続けることが大きな意義。


――フォトギャラリーキタムラの特徴についてお聞かせください。

 まずひとつ目は、スタッフが常駐していることです。通常のギャラリーでは写真展を開催しているご本人や、その関係者が交替で受付にいる場合が多いのですが、ここではそのような手間が省けます。また物販の管理もしていますので、その点も喜ばれています。
 最近はメーカー系のギャラリーが閉鎖されたり、営業時間を短縮するところが出てきています。アマチュア写真愛好家からすると、自分たちの発表の場が少なくなることに危機感を持たれているのではないでしょうか。そのような中でキタムラが、特にアマチュアを対象としたギャラリーをつくった意義は大きいと思います。
 また、繰り返しになりますが本当にロケーションには恵まれています。目の前に広がる新宿御苑、周辺には飲食店舗が充実しており、ギャラリーを取り巻く環境としてはかなりいいところです。


知名度を上げることが重要な使命です。単に場所の提供だけではなく、いかにしてPRしてゆくかが大事。


――年内はすべて予定が埋まっているとお聞きしています。今後の展開についてお聞かせください。

 基本はアマチュアの方に利用していただくための施設です。しかし、年間の中で変化をつける必要もありますので、企画展として年間5回ほどプロの写真家の展示も行なっていく予定です。
 来年の新年早々には竹内敏信先生の「冬のヨーロッパ」を開催します。それ以外では当ギャラリーからも近い場所に事務所を持つ丹地敏明先生による、「新宿御苑の四季」を予定しています。この写真展は当ギャラリーに近い新宿御苑をテーマにしたもので、訪れる皆さまの関心も高いのではないかと期待しています。
 このように展示を通して話題性を高めると同時に、私自身があちこちに出向きPRすることも重要な使命だと感じています。これらのことを通じて、少しでも写真愛好家の皆さまのお役に立てればと思っております。これからもフォトギャラリーキタムラを宜しくお願いします。


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