【拂沢(ほっさわ)の滝】東京都にある名滝の一つで三段滝になっている。夏は滝の飛沫で涼を呼ぶ撮影地といえよう。滝そのものを狙うのもいいが平凡になりがちだ。緑葉と滝の飛沫を入れ「冷気」の表現を試みる。半逆光線にして飛沫の流れを映し込む。
■カメラ:キヤノンEOS-5 レンズ:EF70-200mm F2.8L USM絞り:f16 シャッタースピード:1/15 フィルム:RDP 撮影地:東京都桧原村 〈撮影〉田沼武能


「世界の子ども」と「武蔵野」は永遠のテーマ。
自分が惚れ込んだものへの感動を写真で伝えたい。
東京・浅草で写真館を営んでいた家に生まれたこともあり、写真には小さな頃より慣れ親しんでいた田沼武能先生。写真の学校を卒業して、報道写真家を目指し写真通信へ就職。そこでは木村伊兵衛氏との運命的な出会いがありました。そして木村氏のアドバイスもあり、生涯の撮影テーマを「世界の子ども」と「武蔵野」に決められたのです。また、長年にわたりユニセフ親善大使の黒柳徹子氏に同行し、世界の子どもを撮影。現在までに訪れた国は120数ヵ国にもなるとおっしゃいます。今もなお世界中を飛び回る一方、生まれ育ったふるさと・東京を「武蔵野」というテーマで撮影し続けています。さらに数多くのフォトコンテストの審査員もされている先生ならではの、貴重なご意見もいただくことができました。
※特集ページに掲載した写真は、すべて田沼先生の作品です。
たぬま たけよし

1929年、東京・浅草生まれ。東京写真工業専門学校卒業後サンニュース・フォトス入社。同時に木村伊兵衛氏に師事する。1951年に芸術新潮嘱託、その後フリーランスに。1965年にアメリカのタイム・ライフ社の契約写真家となり「LIFE」「FORTUNE」などの仕事を内外で行う。1972年、ライフ社との契約を解消し再びフリーランスとなる。1975年、75年度第25回日本写真協会年度賞を受賞。1979年モービル児童文化賞を受賞。国際交流基金により、世界各国で写真展「日本の子供たち」を巡回。1985年、第33回菊池寛賞を受賞。1988年、第38回日本写真協会年度賞を受賞。1990年、紫綬褒章を受章。1994年、第44回日本写真協会年度賞を受賞。2002年、勲三等瑞宝章を受章。2003年、文化功労者に顕彰される。主な写真集に『武蔵野』(朝日新聞社)、『すばらしい子供たち』(朝日新聞社)、『アンデス讃歌』(岩波書店)、『アトリエの101人』(新潮社)、『わが心の残像』(文藝春秋)、『東京の戦後』(筑摩書房)、『地球星の子どもたち』(朝日新聞社)、『ロマネスク古寺巡礼』(岩波書店)、『トットちゃんが出会った子どもたち』(岩崎書店)、『人間万歳』(クレオ)、『60億の肖像』(日本カメラ社)などがある。社団法人 日本写真家協会会長。有限責任中間法人 日本写真著作権協会会長。東京工芸大学芸術学部写真学科名誉教授。全日本写真連盟会長。
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