大学生の時に、初めて手にしたカメラがマミヤRB67。

――先生と写真との結びつきは、どのようなことがきっかけだったのでしょうか?


 大学1年生の時に、助教授の先生がマミヤRB67を持っていまして、それをお借りして撮影したのがカメラとの出合いでした。それまではカメラを特別に意識したことはありませんでした。35mmカメラから始めたわけではなかったので、6×7サイズのカメラに対しても、大きいとか重いなど、特別な苦労を感じることはありませんでした。
 もともとネイチャーフォトが好きでしたので、それ以来、中判カメラや4×5のカメラで撮影してきました。
 写真を始めて思ったのですが、同じ物を同じ時期に同じように撮影しても、必ず違いがあるものです。その情景の奥深さを写真を通して発表していきたいと思いました。


【ヤナギの風貌】
■カメラ:マミヤRB6×7 レンズ:KL127mm F3.5 絞り:f22 シャッタースピード:1/2秒 
フィルム:RVP100 撮影地:長野県小谷温泉(2月)

偶然に訪れた雨飾山。2年半にわたり通いつづけ、3万カット撮影。
――林明輝先生といえば、長野県の雨飾山を取材した写真集『あまかざり』が有名ですが、この山との出合いは?


 実は私も全く知らない山でした。新潟県糸魚川市と長野県小谷村の県境にあり、日本百名山のひとつでもあります。標高は2千メートルに満たない山ですが、日本海に近いために積雪量が世界的に多い地域ということしか頭にありませんでした。
 残雪と新緑を同時に見ることのできるフィールドを探していた私は、1995年の5月に偶然この地を訪れました。その年は久しぶりに雪が多く、ブナの新緑との組合せがとてもきれいでした。
 そこで、この雨飾山の四季を追ってみようと決意しました。初めて訪れた時の条件が素晴らしすぎたため、それ以降なかなか満足のいく写真が撮れずにいて、気がつくと2年半の間に80回以上訪れ、約3万カットの撮影をしていました。
 その当時の雨飾山は訪れる人は僅かで、登山者もほとんどいません。ましてや写真を撮っている人にはほとんど出会いませんでした。それが現在では年間1万人以上の登山者が訪れ、写真を撮る方からもよく声をかけられるのには驚いています。


【鎌池の秋】
■カメラ:マミヤ645AFD レンズ:AF APO 300mm  F4.5 絞り:f22  シャッタースピード:1/2秒  フィルム:RVP100 撮影地:雨飾山(10月)

これからは、”写真の文化度“を上げていくことが大切。

――雨飾山の後も自然風景を撮影されていますが?


 自然風景の中で最初は”山“をテーマに雨飾山の撮影を行いました。その次は、
”水“をテーマに撮影をした2001年の『水のほとり』、そして”森“をテーマに撮り続けた2004年の『森の瞬間』、それぞれの個展開催と写真集の出版を果たしました。
 自然風景は、カメラを持って撮影すれば、誰もがそこそこに写せる被写体です。しかし、私を含めて日本人は、素晴らしい自然が身近なところにあるので、あまりにも無意識に接してきました。ですから、多くの方々が自然を前にした時に、何のために写真を撮るかを意識することなくシャッターを切っています。
 しかし、これからは今までの意識とは違う、新しい気持ちで写真を撮っていく必要があると考えています。
 自分がなぜカメラを持って、なぜネイチャーを求めていくのか、なぜそこでレンズを向けているかという、目的意識を明確にして撮影されるといいと思います。そのような写真の奥深さを、撮る人たちに理解して欲しい。写真を撮る人がそういう意識を培っていくと、見る人の意識も変わってくるものだと思います。
 そのようにして、”写真の文化度“を上げていくことが大切なのだと痛切に感じています。そのために、私自身も微力ながら貢献していきたいと考えています。


【晩秋の尾根】
■カメラ:マミヤRB6×7 レンズ:KL350mm F5.6 APO/L 
絞り:f5.6 シャッタースピード:1/30秒 フィルム:RVP100 
撮影地:群馬県赤城山(11月)
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