カメラのキタムラ
Vol.49 2004 SUMMER
フォトワールド 十人十色 第6回  
海が好き。人が好き。それが自然体の写真スタイル。
アマチュア写真家  飯田 樹
編集部では、昨年よりこの「フォトワールド十人十色」へ、飯田樹先生の登場を企画していました。そこへ飛び込んできた林忠彦賞受賞の知らせ。林忠彦賞といえば、アマチュア写真界最高峰といわれる栄誉ある賞です。高校の数学教師という本業と平行して、「房総の海と人」を主なテーマとして撮影を続けてきた飯田先生。取材時期が受賞直後となり、大変お忙しいはずでしたが、そんな素振りも見せず、たくさんのお話をお聞かせいただきました。
【青夏】男女のグループに17mmで割り込んだ。海に心を開いた若者は、素直に受け入れてくれた。見事に日焼けした肌色と、白い雲が健康的で、世紀末に、超広角の接写にも自然体で、骨太の若者に出会えて嬉しかった。
■カメラ:EOS1NDP レンズ:EF17-35mm F2.8 絞り:f11 シャッタースピード:1/80秒 フィルム:RVP PLフィルター使用 撮影地:千葉県御宿町中央海岸
【潮騒】5月の夕暮れ、斜光がやわらかく渚を包み、サーファーも上がって、誰もいない海。鳥がゆったりと海を見ていた。静かな海に波音だけがこだまし、よせてはひいていた。
■カメラ:EOS1NRS レンズ:EF300mm F2.8 絞り:f5.6 シャッタースピード:1/125秒 フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:千葉県御宿町中央海岸

林忠彦賞の受賞で、恩師・竹内先生に恩返しができた。
 昨年、初の写真集である『海を見ていた―房総の海岸物語―』を発表し、注目を集めている飯田先生。その実力を、まさに林忠彦賞受賞が証明した形となりました。
 今回の受賞で、この写真集の監修者でもあり、これまで20年にわたってことあるごとに指導を仰ぎ、現在では家族ぐるみのおつきあいをされているという、写真家・竹内敏信先生に最高の恩返しができたと語っています。
「竹内先生の奥様に、『一番喜んでいるのはウチの主人じゃないの?』と言われたときは、本当にうれしさがこみ上げてきました」。
卒業生に誘われた写真サークルが、本格的な活動の出発点に。
 飯田先生の写真活動は、1980年に結成された写真サークル「ながらみ」から本格的に始まります。
 それまでも大学時代にカメラの楽しさを知り、勤めていた学校での行事でカメラマンを担当するなど、細々と続いていた写真への興味が、ある頃から自分の中で大きく膨らんでいきました。
 ちょうどその頃、当時教鞭をとっていた学校の女子卒業生から、「一緒に写真サークルをやりませんか?」と声がかかりました。先生の教え子ではありませんでしたが、当時女子では珍しい写真大学へ進学した生徒でした。
 こうして、写真においては彼女が最初の”師匠“となった先生は、結成された写真サークル「ながらみ」に参加することで、本格的に写真の世界へ踏み出し、今日の活動の基礎を固めていくのです。

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