日本のカメラよもやま話
第3回 
デジカメ全盛の現代に、戦後の
国産二眼レフの新鮮な魅力を発見!

田中 長徳
たなか ちょうとく/1947年東京生まれ、日大写真科卒。日本デザインセンター勤務の後、1973年からフリーランス写真家に。ウィーンに8年間、ニューヨークに1年間滞在。東京、ウィーン、ニューヨークなどで個展多数開催。著書・写真集多数。最近はクラシックカメラのエッセイの仕事も多い。日本写真家協会会員。最新の写真集は『CHOTOKU@WORK 1964-2001』(毎日コミュニケーションズ)。
 
 
 
 さて第三回目である。
 最近、二眼レフがなかなかのブームらしい。肩からぶら下げていてカッコよい。その正方形のスクリーンで、構図を作るのが楽しい。などなど、その魅力は、現代のコンパクトカメラや、一眼レフにはないポイントがある。私も、各種二眼レフを仕事に散歩カメラにと愛用している。ただ、我々、団塊の世代にとって、二眼レフは古くさいカメラであった。なにか、押入の中から出てきた、かび臭い古カメラを使用している感があった。ところが、最近気がついたことであるが、この二眼レフブームの主役は10代、20代の連中である。連中は安い中国製の二眼レフなんかを使っているけど、なかなかサマになっていると思う。彼らの共通する特徴は、その服装がきまっていることだ。だから、私などが古い二眼レフなどを使っていると、古い人間×古い二眼レフ=とんでもなく古い写真機人間であるのに対して新しい人間×古い二眼レフ=時代の流行を行くカメラ人類という構図になるのである。
 なぜ、二眼レフがブームなのか?そこを、今回は探検してみよう。
 世紀が、20から21にカウンターが進んで、世の中では、銀塩カメラ(フィルムを使う従来のカメラのこと)と、デジタルカメラとが、ほぼ、互角の戦いを演じている。おっと、言い方が誤解を与えるので、言い直せば、本来、デジタルと銀塩カメラとは争う間のものではない。つまり、デジタルと銀塩カメラは協調関係を持っているのである。最近の若い連中の撮影のやり方を見ていて、面白いのは、普段は安い玩具デジカメで撮影していて、いざ、自分の大切な撮影となると、そこで、「フィルムを入れるカメラ」を取り出すのだ。彼らのカメラのカテゴリーでは、デジタルカメラを「カメラ」と呼ぶ。では、フィルムを入れるカメラを、どう呼んで区別しているのかと言うと、これを「現像するやつ」あるいは「現像するカメラ」と言うのである。
レンズ交換式の二眼レフを世界で最初に商品化したのが、マミヤCシリーズであった。その斬新なアイデアは、ローライに影響を与え、ワイドとテレの専用のローライフレックスを開発させるに至った。求めやすい価格で、頑丈というので、一時は町の写真屋さんの代表的カメラであった。一方で世界的な写真家、ダイアン・アーバスの愛機としても有名。55ミリから250ミリまでの交換レンズ群を誇っていた。
 
 
 
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