路上観察紀行

ふじもり てるのぶ
1946年長野県に生まれる。東北大学工学部建築学科卒業後、東京大学大学院博士課程に進む。1980年『明治期における都市計画の歴史的研究』で日本都市計画学会賞、市政調査会藤田賞を受賞。1983年には『明治の東京計画』で毎日出版文化賞を受賞。1986年『建築探偵の冒険 東京篇』で日本文化デザイン賞、サントリー学芸賞受賞。1997年には『ニラハウス』で日本芸術大賞受賞。現在、東京大学生産技術研究所教授。近年では東京の抽象的な巨大オフィスビル群に「都市が見えなくなる」と警告も発している。
前回、ご紹介した林丈二氏は、幼少の頃から路上観察を楽しまれている方でしたが、今回ご紹介する藤森照信氏も「いつから路上の変なものに興味を持ったのか覚えていない」という生粋の路上観察者の一人です。

藤森氏はその天性の路上観察者の視線で建築物をとらえ、建築史家を本業とされていますが、氏の観察した「奥の細道」の路上は、どのようなものだったのでしょう。

今回はその豊かな好奇心と広範囲な創造力を持つ氏に、「路上観察学会」と「奥の細道」のお話をうかがいました。
同潤会の吹上の美しい螺旋階段。深川の同潤会は職人や工業労働者用に建てられたアパートなので、かつてはここに何人もの職人が上り下りしていたに違いない。(深川)
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