ライカとつきあうことは楽しい
それはまた同時に写真の本質を学ぶことだ
第1回は、ライカはいかにして生まれたかを
・型からM3型までおさらいする
スタンダード
──連動距離計を装備したライカはまたたく間に世界最高の小型カメラとなった。──本文より
この写真は・型から連動距離計を省いたスタンダード。バルナック型ライカの完成形である。
・型(A) 
──最初は人気が出るというほどではなかった。「あんな小さいネガでちゃんとした写真が撮影できるわけがない」これが当時の一般の写真愛好家の考えだった。──本文より
市販された最初のライカ。日本ではA型と呼ばれている。
・a型
──この頃、ライカはすでに高級カメラの代名詞になっていた。──本文より
・a型は・型に1/1000秒を追加したモデル。
写真を撮ることは楽しい。 
ライカで撮影するともっと楽しくなる。

 私はすでにライカを友として30年だけど、写真を撮影することに飽きることはない。そこがライカの魅力である。

 本誌のタイトル「フォトライフ四季」ではないが、日本のような四季折々の風物をそれぞれの色彩で撮影できるというのはこれは写真愛好家にとって最高の国だ。なぜライカが面白いのか、と言えば、カメラの進歩と無関係であるからだ、とここでは答えよう。

 一見私は逆のことを言っているみたいだけど、それがライカの良いところである、その秘密はだんだんに解きあかして行くとして、世の中に目を転じてみれば、まず最近のカメラの進歩はすさまじい勢いである。私はプロ写真家になってすでに四半世紀を越えようとしているが、駆け出しのカメラマンの頃はまず露光が合って、色がちゃんとしているというのが至難の技であった。その基本だけを押さえておけば、写真家としては食える、という時代が昔は確かに存在したのである。

 世の中にオートフォーカスの一眼レフが登場した10数年前、あれはミノルタα7000であったか、あの時には写真家連はパニックに陥ったものだった。なにしろ、それまで技術で撮影していた商売の写真が、いとも簡単に素人衆でも撮影できるようになってしまうからだ。これはプロ写真家を脅かす新技術だった。
 最近ではさらにAPSだ、デジタル写真だ、とプロ写真家とアマチュア写真家の間の溝というのはどんどん埋められている。昔みたいに技術だけで、「のほほん」としては居られない時代になってきた。

 ところでオートフォーカスの一眼レフにしてもコンパクトカメラにしても、ああいうカメラは35ミリフィルムを使用する。例の両側にパーフォレーションという穴が規則正しく開いているフィルムである。
 今でこそ、このフィルムは写真を撮影する感光材料の定番みたいな顔をしているけど、実は最初から存在していたのではなかった。このフィルムを使った元祖がライカなのである。もともと35ミリフィルムというのは映画からの借り物であった。エジソンが発明した35ミリ幅の映画フィルムをそのまま写真用にちょっと拝借したものなのである。そのちょっと拝借状態がすでに70年以上にもなってしまったという次第。

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