現代銘品カメラ列伝5
オリンパス
CAMEDIA C-1400L
C-840L編
デジタルの世界に銀塩の経験を生かし、
一眼レフとコンパクトの2機種で挑む
オリンパスの高画質デジタルカメラ。
CAMEDIA C-1400L
超高精細141万画素原色プログレッシブCCDと、高解像光学3倍ズームレンズを搭載しながら、普及価格を実現したC-1400L。デジタルカメラでありながら銀塩写真に匹敵する優れた画質を誇る。光学式ファインダには一眼レフ方式を採用。 希望小売価格128,000円(税別)
CAMEDIA C-840L
総画素数131万画素CCDと高性能レンズの組み合わせにより、コンパクトデジタルカメラの中で最高レベルの画質を実現。最大10cmまで接写できるマクロ撮影機能など、多彩な機能を搭載し、8MBの大容量スマートメディアを標準装備している。 希望小売価格84,800円(税別)
オリンパスというと、銀塩カメラのセンチュリオンやμを発売し、その洗練されたデザインを思い浮かべる読者も多いのではなかろうか。これらの商品からは、オリンパスが技術の最先端を優雅に飛翔するメーカーという印象を受ける。しかし実際に取材させていただき、話を伺ってみると、オリンパスには、そうした優雅な表向きの下に、写真文化とユーザーを見据える「かたくな」な技術者の姿をかいま見ることができる。それは今回取材させていただいたデジタルカメラのように、技術の先進性を求められるシーンで、より鮮やかに浮かび上がる。

デジタル写真も写真文化に参画できる。
それを証明してみせたCAMEDIA。


「これまで銀塩フィルムのカメラで数々の傑作を世に出してきたオリンパスさんが、最初にデジタルカメラの世界に踏み込んだのは、どのような事情によるものなのですか」とカメラのキタムラで電子映像部門を担当している山本政純が切り出した。きっかけは、ソニーの発表したマビカ、いわゆるマビカショックだったという。「いずれはみんな電子カメラに変わっていくのではないかという危機感を各メーカーさんが持たれたんではないかと思います」と語るのはオリンパス光学工業(株)DI事業推進部の中島幸夫次長。オリンパスもこれを機会に電子カメラの開発の検討をはじめる。しかしその当時、実現できる技術というのはレベル的に低く、なかなかユーザーに受け入れられるものではなかったという。
 オリンパスが最初に世に出したデジタルカメラはVC-1000、1100シリーズという機種であるが、これは業務用途の要求を満たすための製品だった。
 やがて様々なメーカーから、デジタルカメラでも比較的低価格の商品がラインナップされはじめる。それらの低価格の製品群を前に、オリンパスは数々の銀塩カメラの名作を世に出してきた光学機器メーカーらしい疑問を抱く。「デジタルカメラもカメラという名前がついているのだから、一般のユーザーからすれば、写真を撮る道具と認識されていると思うのです。しかし当時の低価格のデジタルカメラの画像をユーザーが見たときに、写真であるという認識をしてもらうためには、画質が粗すぎるように思えました。パソコンのモニターの上で見るのならいいのでしょうが、我々が目指そうとしているデジタル写真は、プリントしても鑑賞に堪えられるもの、従来の写真文化を継承したものだったんです」と中島氏は当時をふりかえる。
オリンパス光学工業株式会社 DI推進事業部 商品企画グループ グループリーダー 
次長 中島幸夫氏
 デジタル写真というのはこの程度のものなんだ、写真とは言いながらも、とてもプリントアウトして楽しむ、感動できるような対象ではない、とユーザーに思われて市場の発展にブレーキがかかってしまうと困る。オリンパスとしてはデジタル写真でもこんなにきれいな絵が撮れるんだということを、ユーザーにわかってもらいたい。そうした同社のデジタルカメラに対する思いが結実し、CAMEDIA C-800Lを世に出すことになる。