撮影便利メモ

海辺の風景に夏の被写体を求める

 夏といえば海。海辺の砂浜はどこでも多くの海水浴客で埋まります。また、写真を趣味としている方なら、海を被写体として撮影する機会も増えるのですが、そこで「おや?」と思った方も少なくないはず。これはと思って撮った写真が、被写体が海の場合は、思いの外、つまらない写真だったりする事が多いのです。
 これは山ならばファインダーで覗いた画面の、上下左右に変化があるのに対して、海の景観には変化が乏しいためなのです。また、海の日差しや紫外線の強さも、撮影時には要注意。
 そこで今回は、こうした海での撮影のポイントと道具に関する注意について解説します。

画面のアクセントのつけ方に工夫しましょう。

 山や里では木々の緑の色づき具合や草花によって、季節の変化を写真に捉えることは難しいことではありませんが、被写体を海とした場合は、そのままでは季節感が出ません。

 素肌に感じられる風の冷たさや空気感の違いも、写真で表現するとなると非常に難しくなります。見た目ではギラギラとした真夏の海も、写真になるとノッペリとした平面的な景色になってしまうのです。

 そこで海を被写体とする場合には、季節感や印象を深めるような撮影を心がける必要があります。具体的には画面に変化を与える材料を、意識的に入れる工夫がいるのです。材料はケース・バイ・ケースで、一概には言えませんが、人物や入道雲を配すだけでも、海の写真はいきいきとしてきます。

 海の水平の広さを利用して、パノラマ写真を使用するのも面白いのではないでしょうか。ただし、パノラマの場合はフィルム面が小さくなりますので、フィルム感度は50程度の低いものを使用する方が有利です。

露出は光の方向と撮影意図に合わせて決めましょう。

 一般的に風景を撮る場合、カメラマンが太陽を背にした順光の撮影では写真に立体感がなくなり、平面的な画面になりがちですので、斜光、逆光、あるいは半逆光での撮影が多くなります。

 特に被写体に対して陽光が斜めに当たる斜光の撮影は、立体感が強まりますので風景写真に適しますが、真夏の陽光の直射の下では、日の当たった部分と日陰の部分での露出差は大きくなりますので、露出には注意がいります。

 カメラにスポット測光の機能がある場合には、画面の日の当たった明るい部分と、日陰の暗い部分の測定を行って、その中間に露出を設定するとよいでしょう。状況にもよりますが、露出補正はどちらかというとプラス側に補正した方がきれいなグラデーションが得られます。

 逆光、半逆光での撮影では被写体の明暗の差は斜光よりも大きくなり、露出測定はカメラまかせの自動露出だけでは難しくなります。

 影を活かして被写体を意図的にシルエットとして扱う場合には、明るい部分に露出を合わせます。また、暗い部分に露出を合わせた場合は明るい部分が白く飛びます。自分の撮影意図に適した方に露出を合わせてください。どちらに露出を合わせるにしても、意図的にフレアのある写真を撮ろうというのでないかぎり、レンズに直接陽光が入らないように注意しましょう。