新・メーカー探訪

ユーザーの要望にきめ細かく 対応した数々の新機能を搭載。

世界初、ガイドナンバー20の「大光量ズームフラッシュ」をヘッド部に搭載。焦点距離24mm〜80mmに連動して照射角がズームする。
ミノルタ(株)カメラ生産センター
川路智彦氏
 「α-707siが好評でしたので、この機種をベースにユーザーの声と技術の進歩を取り入れて、さらに完成度を高めるというのがα-807siの基本的な考え方です。その新たに搭載された機能のひとつが、世界初のガイドナンバー20という大光量をもつ内蔵フラッシュです」と、α-807siの開発リーダーを務めたミノルタ(株)カメラ生産センターの川路智彦課長は語る。

 この大型ストロボを収納するために大きくデザインされたα-807siのヘッド部は、焦点距離に連動してストロボの照射角がズームする仕組みになっている。そしてこのストロボは、例えば日中の逆光撮影時の補助光として、太陽光に負けないだけの光量が必要とされる時などにその威力を発揮するという。

 また、従来の「インテリジェントカードシステム」が持っていた機能をボディに内蔵したのもα-807siの大きな特徴だ。カードシステムもその機能自体はユーザーに好評であったが、一度に一枚のカード、つまりひとつの機能しかセットできなかったため、「露出ブラケット機能を使いながら、撮影データの記録もしたい」といった要望には応えられなかった。しかしその後電子技術の向上が図られ、α-807siではこうした付加機能や撮影シーンに対応した設定機能をカメラ本体に組み込むことによって、複数機能の併用を可能にしたのだ。

ミノルタ(株)カメラ開発センター
鈴木達弥氏



 α-807siにはこのほかにも、撮影者の好みに合わせたオリジナルの撮影モードを3 種までインプットできる登録機能や、16種類と充実したカスタム設定など、ユーザーニーズへのきめ細かい対応が随所に見られる。

 「通常、我々がひとつのカメラを開発する際には、『こうした使い方をする撮影者のためにはこうすべきだ』という考え方に対し、『逆にこういう希望をもつユーザーにはこの方がいい』といったことを論議して、最終的にどちらかに決まるのですが、そうして作られた製品には、当然のことながら要望が取り入れられなかった側のお客様からは不満が出るわけです。ですからこちらがひとつのスタイルを決めこんで押しつけるのでなく、様々な使い方ができる機能を一台のカメラに搭載し、ユーザー側に選んでいただけるのならその方が良いのではないかと、発想を転換した結果なんです」と、ミノルタ(株)カメラ開発センターの鈴木達弥氏は「撮影者の意志や個性を反映させられるカメラ」であることを強調する。

ミノルタ(株)カメラ開発センター
工藤吉信氏
 そしてカメラボディのみならず、レンズにもユーザーの声が反映されていると語るのは、ミノルタ(株)カメラ開発センター課長研究員の工藤吉信氏。「従来のレンズ群には広角系のズームレンズがラインナップされていなかったのですが、ユーザーの要望に応える形でα-807siの発売に合わせ、広角ズーム2アイテムを開発しました。特に17〜35mmのAFズームは円形絞りを採用したことにより絞り込んでもボケが角ばらず、ソフトできれいなボケ味を出せるのが特徴です」。

 「多機能性」と「シンプル操作」を追求し、常にユーザー志向の製品を送り出してきたミノルタ。これからも我々ユーザーの気持ちを優れた機能という形に替えて、そのカメラやレンズに搭載してくれることを期待したい。