撮影教室


ロマンチックな天体写真に挑戦してみましょう


魅力にとりつかれてヤミつきになるかも……

 天体は「ふれてみなくては判らない」と、よくいわれています。北の空に輝く七つの星、西の空の金星などなど、神秘的な世界のひとつでしょう。天体望遠鏡で覗いていると、その神秘な世界がより魅力的になります。この神秘的な世界を、写真撮影で接してみてはいかがでしょう(望遠鏡のレンズを通さずにカメラレンズだけで写した星の写真を星野写真=せいやしゃしん=といいます)。本格的に天体撮影に取り組むにはいろいろな知識と道具が必要になってきます。それを説明するには膨大な量になりますので、ここでは誰でもが簡単にチャレンジできる『固定撮影』を中心に説明します。

知識を持ってのぞむことがポイント 「基礎的ないくつかの用語と知識」
(説明は北半球をベースにして進めてあります)

*天球=空に球があるわけではなく、仮想の言葉です。遠い星、近い星があっても非常に遠くにあるため、すべての星は大きな丸い天井にはりついているように見えます。地上(地球)から見て丸い天井の中心になりますので、天球と表現します。

*日周運動=昔、海で遭難した時などは「こぐま座(北極星)を基にして位置を確認せよ」と、小説にも出てきます。これは地球が1日に西から東へほぼ1回転(この動きを日周運動と呼びます)していますが、北極を中心にして動いているように見えます。つまり、北極星を含むこぐま座が逆に動いていないように見えるため、位置が確認できるわけです。

*緯度によって星の動き方が違う=星座の写真で、円を描いたように星が動いているのは、北の空に向かってカメラを向けたからです。逆に南の空に向かってカメラを構えると、大きな半円の線のように写ります。ちなみに、赤道上で真上に向けて撮影すると、直線になります。

*天体の位置を知るには=星座早見盤(何時頃、どの星がどの位置に見えるかを確認します)、星図、理科年表などで調べます。
*暗い場所、闇夜に撮影する=ネオンで明るかったり、満月では光が邪魔をして明確な写真は得られません。

誰でもチャレンジできる『固定撮影』

 星野写真にはカメラを三脚に固定して写す固定撮影(静止撮影)と、カメラを赤道儀のカメラ雲台に取り付けて日周運動による星の動きを追いながら写すガイド撮影があります。固定撮影は露出時間を長くすると、星が線状に延びてしまい、ある程度の明るい星しか写せません。これに対し、ガイド撮影は露出時間を長くしても、フィルム上の1点に光が蓄積されることで、暗い星でも写り込みます。

*固定撮影
 写し方は簡単です。カメラを三脚に取り付け、シャッターをB(バルブ)に合わせます。撮りたい星座にレンズを向け、レリーズでシャッターを切ります。

 露出時間は日周運動による星の動きを写すならば、10分〜1時間、シャッターを開けておきます。また、星座の形を写すならば、20秒〜1分程度で、彗星を撮る時にもこの手法をとった方が尾がきれいに写ります。

注意点としては

1.がっちりした三脚を使用すること。
2.シャッターはストッパー付きレリーズを使って振動を与えないこと。
3.よけいな光が入らないようにレンズフードを使用する。
4.ピントは無限大(∞)に合わせること。
5.レンズの絞り値は開放より1絞り絞る方がシャープな像が得られる。
  15分以上の長時間露出する場合はF5.6〜8ぐらいに絞る。
6.撮影中はカメラ、三脚に触れないこと。
7.フィルムは高感度(ISO 400 程度)のものを使うと暗い星まで撮影できる。
8.長時間露出は電池の消耗が激しいため、AFカメラ(電子シャッター)よりも機械式シャッターのカメラの方が向いている。
9.撮影後、現像を依頼する時に「天体写真である」旨を明記しておくこと。(そうしないと、かすかな光点なので「写っていない」と勘違いされてプリントされないことがあります)

*ガイド撮影
 カメラを赤道儀の雲台に取り付け、日周運動で動いていく目的の星の動きに合わせて、追いかけながら写すのがガイド撮影です。この方法ですと、星は点像に写り、固定撮影では写らなかった暗い星や星雲などをきれいに写すことができます。モータードライブ付赤道儀ですと、自動的に星を追いかけることができます。

 撮影中に新彗星の発見して、有名になることはほとんど不可能でも(運がよければ可能ですが……)、ロマンを求めて新しい撮影分野を拡げてみてはいかがでしょう。

 なお、赤道儀による撮影の詳細については各メーカーに問い合わせて下さい。
 資料・写真提供 (株)ケンコー 電話03-3999-6066

上の写真
固定撮影による星座の写り方 百武彗星と北天の星座
データ トキナーレンズ17mm F3.5 露出7分30秒
カラーフィルムISO 400 使用

下の写真
ガイド撮影による星座の写り方 百武彗星全景
データ トキナーレンズ28mm F2.8 露出10分
ガイド=ケンコースカイメモで自動ガイド
カラーフィルムISO 400 使用


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