撮影教室


自然が生み出す色鮮やかな世界”紅葉”を撮ろう

ちょっとした心がけできれいに撮れる紅葉
 彩りの鮮やかな紅葉が目の前に現れると、そのままの景色がフィルムに納まるものと思いがちです。「あんなにきれいだったのに、写真にしてみたらつまらない景色になってしまった」の経験をされた方も多いことでしょう。人間の目が素晴らしい威力持っていて、瞬間的に望遠レンズの効果を発揮したり、時には広角レンズにもなります。さらに明るさ、暗さによって露出も瞬時にしかも自動になっています。無意識の瞬間にカメラでいうなれば、その景色を的確なアングル、レンズを選びを行い、適正な露出で、色鮮やかさ、迫力も捉えています。人間の素晴らしい機能をカメラが簡単に代行してはくれません。カメラの技術が発達したからといっても、やはり「命令」しなければ、人間の目には近づいてくれません。

一眼レフ、三脚は必需品
 そこで紅葉を撮影するに当たり、まず第一にカメラは一眼レフをお勧めします。コンパクトカメラでもきれいに写せますが、「命令」をきいてくれない部分がありますので、調整のできる一眼レフの方が有利に撮影できます。

 第二としてはフィルムはカラーリバーサルが「よし」とされていますが、印刷を目的にしないのであれば、ネガカラーで充分です。ただし ISO感度は 100以下を選びます。色鮮やかさを「絶対ものにしてやる」と、考えている人はISO 50で挑戦すれば、かなり思い通りの色が得られるハズです。(註=ISO 感度は数字が少なくなるほど粒子が細かくなり、きれいに写りますが、露光量を多く加えなければなりませんので、スローシャッターを使う機会が増え、カメラぶれを起こす可能性が高くなります)

 そして第三としては三脚の持参です。極端なことをいいますと、三脚を使っている人は「写真知識が豊富で撮影も上手とみてまず間違いがない」ほどです。まして感度の低いフィルムを使用するのであれば、なおさら三脚は必要です。

順光での撮影ポイント
 太陽を背にしての撮影はほとんどがこの順光となります。紅葉に陽光があたり色彩を一段と高めている状態です。露出はネガカラーフィルムナあれば、カメラまかせでほとんど気にする必要はありません。ポイントは作画にあります。ただ「きれい」だからだけでシャッターを押すのではなく、画面に変化をつけます。広い全体を写すと、平面的に写真になりがちです。どこかを切り取って、例えば、赤と黄色が混じっている部分、逆に赤だけの部分、明るい赤の後ろが暗くなっている部分といったように、作画意識を目的に持って撮影すると良いでしょう。

斜光での撮影ポイント
 この斜光は紅葉だけではなく、陰影を上手に出せる光ですから、立体感や奥行きを表現でき、写真撮影に適している光です。ポートレートにもこの斜光が適していると覚えておくと便利です。斜光では明暗が強くなってきますから、カメラまかせの露出決定では、不安があります。暗い部分が多いと明るい部分が露出オーバーになって白ぽくなってしまいます。一眼レフであれば、明るい部分をスポット測光して撮影すると良いでしょう。

 自信がない時には一眼レフには露出補正機構が付いていますので、マイナス側に半絞りずつ、1絞りまで2〜3カット、念ため、カメラの指示する適正で撮影しておきたい。ただし、これは一般的な状況であってすべてに適合しません。光の影響で写り方が違ってきます。

逆光での撮影ポイント
 紅葉した葉を明るい青空をバックにして、透かして見ると赤や黄色の色彩が映えてきます。斜光の時よりも露出補正がさらに必要になります。スポット測光では光の全体を見て、中間と思われる光の部分を計るほぼ適正に近い露出が得られます。しかし、これでも完とは言えません。測光値のプラスとマイナスの計3カットは撮影しておきたい。青空をバックにする場合、基本的にはプラスの露出補正となります。カメラまかせでの逆光は露出アンダーの写真になりがちです。

川を入れての撮影
 紅葉に変化を求める時に、よく使われる手法として川の流れがあります。清流を画面に入れるとイメージが大分異なってきます。川の流れが糸を引いたように撮るには、一眼レフの機能を使います。カメラ操作では、シャッター優先モードを選びます。川の流れの速度によりますが、シャッースピードを1/30秒以下に設定すると、糸状の雰囲気がだいたい出せます。1/15秒以下のスローシャッターでも試してみて下さい。超スローシャッターの世界では、カメラの性能を越えた要求される場合がしばしば起こります。周囲が明るい所では、露出オーバーになる傾向がありますので注意して下さい。

マクロ撮影もおもしろい
 一眼レフのレンズにはマクロ機能がついている場合が多くあります。被写体に45cm程度に接近できるようであれば、その機能を駆使して、葉の裏側から撮影すると、一枚の葉が生生きと感じられることでしょう。マクロ専用レンズを使用するとその効果も倍加します。ただし、葉の裏側からの撮影はほとんどが逆光になりますので、やはり露出には注意します。

 写真はカメラのキタムラ全国紅葉前線第1回グランプリ・船越義雄氏、第5回秋の彩りフォトコンテスト特別審査員賞・曳野 利氏(川の流れの写真)の作品です。