撮影教室


露出を知ってイメージ通りの明るさに仕上げよう

 ピントと露出は写真撮影の基本です。前回はピントについてお話しましたので、今回はもう一つの基本、露出についてお話します。

 露出というのはフィルムに当たる光の量のことです。フィルムは光に反応して画像を焼きつけますから、光の当たる量が多過ぎれば焼きつけられる画像は明る過ぎてしまい(これを露出オーバーと言います。写真1)、逆に少な過ぎると暗くなってしまいます(これを露出アンダーと言います。写真3)。

 露出は様々な撮影条件によって、カメラのオートだけではカバーしきれない場合が出てきます。こうした場合、露出補正を行わなければなりません。特にISO感度の高いリバーサルフィルムの場合は光に敏感に反応するため、撮影する場合には露出に十分に気を配る必要があります。

どんな時に露出補正が必要なのか

 目で見える色や明るさはすべて何かに反射した光です。光の量が多くなれば白に近づき、少なければ黒に近づきます。カメラの露出計は、この目で見える光の量の平均(白と黒の中間、グレーです)を基準にして作られています。
 ですから、極端に白い被写体にカメラを向けると、カメラは露出オーバーにならないように、自動的に露出を下げてフィルムに暗めに画像をやきつけますし、極端に黒いものを被写体とした場合はアンダーにならないように、逆に露出を上げて明るめに焼きつけます。

 ところが、たとえば日中、暗い色のバックの前に人物を立たせた場合、そのままオートで撮影すると、カメラの露出計はバックの暗さに合わせて露出を計ってしまうため、露出が明るめに設定されてしまい、肝心の人物の顔は露出オーバーに焼きつけられてしまって肌の質感が失われてしまうのです。

 このような場合はカメラの露出補正機能を使って、露出を1絞りか半絞りマイナス(暗い方向)に補正してやります(写真45)。
 また、順光の場合は服が真っ白や真っ黒でないかぎりオートまかせでも問題はありませんが、逆光で撮影する場合はバックが極端に明るいため、カメラが露出をアンダーに設定してしまい、顔が暗くなってしまいます。このような場合は同じように露出をプラス(明るい方向)に補正します。

 この補正する数値はフィルムの感度や撮影条件の度合いによって変化するので、当初は露出補正を何段階か変えて撮影し、仕上がった写真を見て感じをつかむようにしてください。特にISO感度の高いリバーサルフィルムでは、1段絞りを変えると大きく変化するので注意が必要です。

AFカメラの測光システム

 せっかく露出補正をしても、カメラの測光方法と食い違っていたのでは何にもなりません。最近のAF一眼レフカメラにはいくつかの測光方式が用意されていて、ある程度自由に設定できるものが多くなっています。適性露出の写真を撮るためには、こうした様々な測光方式を知っておく必要があります。

 中央重点測光という測光方式は、オートフォーカスでピントが合ったファインダーの中央部分を重点的に測光して露出を決める、もっとも一般的な測光方法です。

 分割測光はファインダーの画面をいくつかに分割して測光し、その平均値を適性露出とする方法で、たとえば逆光のように、バックと被写体の明るさに大きな差がある場合などに向いています。
 スポット測光は中央重点測光の測光範囲をもっと絞って測光する方法で、狙った一点に露出を合わせる場合に使用します。

 中央重点測光であれスポット測光であれ、測光するのはファインダーの中央です。では、構図の関係で露出を合わせたい被写体が画面の端にきてしまう場合はどうすればいいのでしょう。そうした場合にはAEロックという機能を使います。

 AEロックというのは、まず露出を合わせたい被写体をファインダーの中央にもってきて測光し、露出を決めてロックします。こうするとたとえ狙う被写体がファインダーの中央からはずれても、カメラはロックした時の露出で撮影するのです。このAEロックは被写体があまり遠距離にあると、利きませんので注意してください。

 このように、露出は写真の明るさを調整するものなのですが、必ずしも狙った被写体に露出が合っていれば良い写真になるかというと、そうとばかりもいえません。皆さんもたとえば逆光の状況で、わざと露出をバックの明るい部分に合わせて、被写体をシルエットとして浮かび上がらせている写真を、一度は見たことがあると思います。

 露出というのは撮影者の撮ろうとする写真のイメージによって決まるものなのです。露出補正もその点を考慮してマスターするようにしてください。きっと写真の世界がひとまわりも、ふたまわりも広がることと思います。

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