撮影教室


広角のローアングルとその効果


ローかハイアングルか
 自分の意図する写真を撮影する場合には、それなりの作画効果をねらう必要があります。作画をする方法としてはさまざまな要素が加わり、ひと言では表現できませんが、今回は被写体とアングルにポイントをおいてみます。

 アングルとは被写体に対してカメラの位置が高い位置にあるのか、水平か、あるいは低い位置にあるのか、つまり、カメラの上下動作によってイメージを探す場合によく使用される言葉です。ローアングルか、ハイアングルかで写真のイメージはまったく異なってきます。例えば、ポートレートや人物スナップではローかハイでは単純な効果として、背を高く見せたり、低くく見せたりができます(右の写真)。もちろん、使用レンズによってその効果を倍加させたり、抑えたりもできます。さらに背景を考慮する場合にも、ローかハイかを選択することで大きな違いが得られます。

 このローとハイは写真に迫力を持たせるのにも有効な手段としてよく使用されていますが、特に効果という面では、広角系のレンズで近寄って撮影する場合に迫力の出ている写真が多いようです。ねらった被写体に何を求めるか、撮影者の意図を明確に、しかも容易に引き出せる手段のひとつとしてアングルの選択が挙げられます。

水平よりもローの方が有効か
 下の写真(千葉県の笠森観音)を比較してみてください。ほぼ同じ焦点距離(30mm前後)で撮影していますが、左側は若干、上向き加減ではあるものの、ほぼ水平です。対して右側は思い切って灯籠に近づき、ローアングルから撮影したものです。


 情景描写としては水平で撮影した方が勝っていますが、写真が平面的であるのに対して、ローアングルからの写真には迫力感が出ています。仮にフォトコンテストなどで、この2枚が残ったとしたら、ローアングルからの写真に軍配が上がることでしょう。

 また、朝市の写真では横位置が50mmの焦点でほぼ水平。縦位置が28mmでトマトを主題に大きく撮ってみました。いずれも市であることは分かりますが、迫力という点ではトマトをメインに置いた広角系にあることがおわかりでしょう。

 このように広角系レンズは、広い景色の撮影に適していると同時に近距離から遠距離までの被写界深度の深さを活用して、迫力ある写真が得られます。


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