撮影教室



撮影領域が拡がるコンバージョンレンズ

デジタルカメラにこそ使用したいレンズ


デジタルカメラの中には2〜3cmの近接撮影が可能なのに、レンズの前にセットするマクロレンズが好調な売れ行きです。デジタルズームで30倍にもなるのに望遠コンバージョンレンズに、なぜ人気があるのでしょう?。不思議に思ったことはありませんか。それにはやはり、使った人だけに判る大きなメリットがあるのです。

コンバージョンレンズとは

まず、このコンバージョンレンズについて説明しましょう。
コンバージョンは「変換・転換」の意味がありますが、レンズでは主に「焦点距離を変換させる」の意味に使われています。
このコンバージョンレンズは、メーカーによってコンバーター(レンズ)、フロントコンバーター、アタッチレンズなどの呼び名があるほか、レンズの前面ではなく、カメラとレンズの間にセットするタイプもあって、リアコンバーターとかエクステンダーなどの名称があります。これらの総称がコンバージョンレンズです。

フィルムカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラの、一般的なコンバージョンレンズを大きく分けますと、広角用のワイドコンバージョンレンズ(以下、ワイドコン)、望遠用のテレコンバージョンレンズ(以下、テレコン)、そして接写用のマクロ(クローズアップ)レンズの3種類になります。ここではこの3種類を中心にして、レンズの前に簡単に装填できるコンバージョンレンズで話を進めます。左の写真はコンバージョンレンズをレンズの前にセットした状態です。

20年以上前は、レンズにコンバージョンレンズを装填すると、レンズの諸収差が増幅され、画質が低下する、歪むなどといわれましたが、現在ではレンズそのものとコンバージョンレンズの性能がアップし、極く一部で、諸収差が出る場合があるものの、ほとんど判らないほど画質が向上しています。また、露出倍数をあまり気にせずに使え、単焦点レンズ、ズームレンズを問わず、自由に使用できます。また、各コンバージョンレンズは小型で、持ち運びが便利なメリットがあります。

*ワイドコンバージョンレンズ
ワイドコンを装填すると、搭載されているレンズの広角域が拡がります。雄大な景色をより広く撮影できます。また、屋内や狭い場所でも撮影範囲が拡がりますので、屋内外を問わずに便利なレンズです。

*テレコンバージョンレンズ
もっとアップで撮りたいケースはしばしば生じますが、そうした場合にこそ、このテレコンが活躍します。 1.5〜2倍のテレコンが一般的です。長いレンズも不要で、ポケットに入るテレコンがほとんどで、望遠の世界を気軽に楽しめます。

*マクロレンズ
接写を可能にするレンズで、花や虫、切手などを大きく撮りたい場合に威力を発揮します。

フィルムカメラでの使用
ほとんどが一眼レフカメラで使用されています。コンパクトカメラでは、どのように写っているのか画像を見られないことで、習熟を要したり、テストで確認をしなければならず、面倒なためです。その点、一眼レフはレンズの前面、後側のいずれに装填しても、広角であろうと、望遠であろうと画像を確かめられますので、安心して使用できます。

デジタルカメラでの使用
*ワイドコンバージョンレンズ
一眼レフタイプを除く、デジタルカメラのレンズは標準に近いカメラが多く、一般的に35mm換算で24mm、28mmの世界が楽しめるワイドレンズが搭載されていません。ズームレンズ付であっても多くが35mm程度から望遠側にシフトされています。ワイドコンを装填することで、広角域を楽しめます。

デジカメの最広角画像ワイドコン0.66倍装填

さらに一眼レフタイプでなくても、モニターはレンズを通した画像を確認できますので、コンパクトカメラ(フィルム用)のようにテストや習熟を要しませんから、誰でもが簡単に楽しめます。これはテレコンを使用した場合も同じで、デジタルカメラこそ、これらのコンバージョンレンズを大いに使いたいところです。

*テレコンバージョンレンズ
デジタルカメラでは、「光学3倍ズーム、デジタルズームで9倍に」といった表現がよく使用されていますが、デジタルズームは画質が落ちるといわれ、例えば、光学10倍からデジタルズーム20倍にしますと、約50%画質が低下すると言われています。

デジカメの最望遠画像テレコン1.8倍装填


その点、テレコンは光学系ですから、画質低下はほとんどありませんから、きれいな画像を得たいのであれば、テレコンの使用はお勧めです。

*マクロレンズ
最近のデジタルカメラは、2〜3cmの近接撮影ができますので、マクロ撮影が可能と思われがちですが、実際に撮影してみると、思ったほどの効果は得られません。マクロレンズを使用しますと、カメラ内蔵マクロ機構の1.5倍ぐらいから数倍の画像が得られ、その効果は見事に画像に反映します。

マクロ内蔵機構で撮影マクロレンズ1.5倍で撮影マクロレンズ2.5倍で撮影

また、これらのマクロレンズは、内蔵マクロと比較して、被写体から離れての撮影が可能です。2〜3cmではカメラの影ができ、自然光を活かし難く、虫などの撮影では、近寄り過ぎて逃げられてしまう可能性が高くなります。実際の撮影では、採光などを考えると、離れて撮れるメリットは意外に大きいのです。
加えて、このマクロレンズを使用すると、被写界深度が浅くなりますので、特に花の撮影ではボケの効果も得られ、作画意図をコントロールできるようになります。

マクロ内蔵機構でマクロレンズ5.5倍で



デジタルビデオカメラでの使用
デジタルビデオカメラの広角は、35mm換算で45〜50mmが多く、家庭内で撮影する場合には、ワイドコンは必需品といえます。
もちろん、テレコンは光学系の望遠ですから、デジタルズームと違って画質を落とさず撮影できる強みは変わりありません。
ビデオカメラの画角が小さいだけに、マクロレンズの効果は大きく、顕微鏡なみの画像が得られ、従来の撮影領域を一段も二段も広くします。

コンバージョンレンズの上手な使い方
1)接写撮影では、被写界深度が浅くなります。解像度を上げるためにも開放F値よりも2〜3絞りは絞り込むようにします。また、逆に開放にしてソフトな写真を作画することもできます。
2)望遠、接写では倍率が高くなり、手ブレが多くなります。可能な限り三脚を使用しましょう。
3)デジタルカメラは暗さに強いので、マクロレンズ使用時はストロボOFFで撮影した方が有利です。
4)コンバージョンレンズの基本的な使い方として、ズームレンズに装填した場合、テレコンは、望遠側で使用し、ワイドコンは広角側で使用します。

注意点
コンバージョンレンズ購入する時には、持っているカメラのフィルターサイズに合わせなければ、使用できません。アダプターで合わせることも可能です。店で確認して購入しましょう。

写真・資料協力:ケンコー、吉田産業(レイノックス)

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