撮影教室




カメラは撮影意図を解釈してくれません

*絞り具合で写りが違う

 適正な露出でピントがキッチリ合っている写真を撮ることは大切なことですが、最近はカメラのオート化によって誰でもが簡単に得られるようになっています。とはいえ、カメラそのものが撮影者の意図を反映するかといいまいすと、「いいえ」と応えざるを得ません。つまり、カメラには表現意図を持っていないということです。

 すべてオート(プログラムモード)で撮影していて、自分の思った通り、印象を持った通りに写ってくれない時があります。この要因は「絞り値」の違いによる場合が少なくありません。特にズームレンズを使用していて、長焦点(望遠)側でこの傾向が出てくるケースが多いといえます。これはカメラが「適正な露出とピント」を正確に測定し、合焦してくれるものの、被写体に合わせて、あるいは撮影者の意図に合わせて、作動してくれない部分があるからです。望遠の場合に特に顕著に現れる傾向にあるということです。

レンズ50mm f1.4レンズ50mm f11
 

 このことは「絞り方」によって、撮影意図を反映できることにもなります。
 端的に、バックのボケはレンズの絞りを開放値に近くにするほど、また望遠側になるほどが顕著になります。このバックのボケを意図的にコントロールできるのが絞り値といえます。

*同じ絞り値でも撮影位置でボケ味が変わる

 しかし、被写体とカメラの位置(距離)関係でもボケに差が出てきます。撮りたいと思う被写体が至近距離にあると、バックのボケが顕著になり、遠くの被写体にピントを合わせると、そのバックのボケは少なくなります。

同じf1.4でも被写体のピントを合わせた距離が遠いほどバックのボケが少ない
ボケの状態を分り易くするために赤枠の部分を拡大しました
 

 このボケについてまとめてみますと次のようになります。

1)レンズの焦点距離が短いほどバックのボケが少なく、焦点距離が長いほどボケが顕著になる。
2)同じレンズでも絞りを小さくするとバックのボケが少なく、開放値に近いほどボケが顕著になる。
3)被写体との距離(ピントを合わせた距離)が遠いほどボケが少なく、近いほどバックのボケが顕著になります。

こうしたバックのボケは、カメラは計算してくれません。撮影者が意図的に意識してコントロールする必要があります。

「絞りと被写体界深度」 続く


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