撮影教室


結婚式はマナーを守りながら度胸よく撮影

新郎新婦に喜ばれるよう心がけましょう

 結婚式の撮影で、まず注意しなければならないのはマナーでしょう。式の進行を妨げるようなことをしますと、折角、撮影したのに逆にうらまれることすらあります。撮影禁止の場所もあるので注意してください。マナーを守って新郎新婦に喜ばれる写真をプレゼントしましょう。とはいえ、萎縮していたのでは良い写真は撮れません。新聞記者になったつもりで、度胸よく近づいて撮影するのも大きなポイントです。それと、ただ単にパチパチ撮るだけでなく、ストーリー性を持たせるように心掛けます。

*準備すること
 カメラは一眼レフが便利ですが、コンパクトカメラでもズーム付であれば十分に撮影できます。単焦点レンズ(コンパクトでは35mmや40mm)だけでは、アップを撮りたいときに必要以上に被写体に寄らなければならず、人によっては嫌がる場合もありますので、望遠が効くカメラの方が有利でしょう。一眼用レンズは28〜105mm があればほぼカバーできます。
 ストロボはスペースにもよりますが、GN28程度で十分でしょう。フィルムはISO感度400か、特に式場のムードを大切にしようとするのであれば800を使用します。但し、四ツ切程度に伸ばすことを考えているなら200〜400を選びましょう。写真にしたとき、さほど粒子も荒れることはありません。本数は36枚撮で5本以上はほしいところです。
 撮影で泣くに泣けないのが電池切れです。今のカメラは電池がなければ『写らない』と思って間違いありませんから、どの程度使用したか不明の場合は、新しく入れ換えるか、予備を是非、準備してください。
 ストロボの電池も同様ですが、充電の早いアルカリ、ニッカドがシャッターチャンスを捉えるのに有利です。GN25程度で電池4本の場合、アルカリでは発光間隔は約0.5秒〜7秒、ニッカドで約0.5秒〜4秒ですが、発光回数がアルカリ約220〜1000回、ニッカド約90〜500回となります(いずれも目安で、ストロボによって異なります)。ニッカドの電池の消耗が速くなります。発光回数は、結婚式では連続撮影が前提になりますので、少ない方で計算するのが無難です。
 式次第をあらかじめ貰っておき、「ここではこのような撮影を……」と、一応の場面を想像しておくと、次に何が来るか予想できますので、余裕を持った撮影ができます。具体的には「○時に入場」とあれば、新郎新婦が初めて披露宴会場に現れた、晴れがましい瞬間をキャッチ、2〜3カット撮る、入場から着席までの歩いている間に数カット……と、計算できます。いうなれば、式次第でロケーションをするようなものと考えてください。

*おさえるべきカット
 いろいろありますが、新郎新婦のいる披露宴会場で是非おさえたい代表的な場面としては 1)会場への入場 2)新郎新婦の着席の姿 3)お色直し 4)ケーキカット 5)キャンドルサービス 6)花嫁から両親へお礼の言葉、花束贈呈などでしょう。
 このほか、お客様の出迎え・お見送り、仲人・お客様の挨拶、お客様同志の交歓、お客様も着飾っていますので立ちポーズや上半身を可能な限りおさえる、会場全体のカットなどなどが挙げられます。これらは定番写真といえるでしょう。

*ストーリー性のポイント
 ストーリー性を創る点ですが、式は順序立てて行われますので、さほど難しく考える必要はありません。
 結婚式そのものにプラスして、式場や入口にある○○家の看板を撮ったり、化粧室での雰囲気を入れたりで、いうなれば、プラスアルファーを入れることです。例えば、ケーキカットでナイフを入れる瞬間、全身や半身プラス、二人が合わせた手だけを撮るとか、親の表情をアップでおさえるなどを入れることでストーリー性が出てきます。
 また、シャッターチャンスとしては花嫁が「ホッ」とした瞬間、例えば納会後の花嫁と友人との交歓があります。また各テーブルも全体をおさえた後、2〜3人ずつのグループで撮影しておくと、新郎新婦にとっては「あー、この人も来てくれたのだ」と、写真を見て喜ばれるでしょう。

*テクニック
 さまざまなテクニックがありますが、簡単で誰でもができるテクニックを記します。
1)いろいろな角度で撮る=縦・横だけでなく、新郎新婦のケーキカットなどはカメラを斜めして撮るのも効果的です。またカメラの高さを調節したり、アングルに変化を付けます。
2)ストロボのOFFを使用する=原則的にはストロボを使用すると失敗は少ないのですが、 雰囲気を大事にしたいような時、ノーストロボで撮ります。スポットライトが当っている場面では光が横や斜めから当っている時にノーストロボで撮影すると光を効果的に活かせます。
3)ソフトフォーカスを使う=花嫁の洋装には特に効果的ですが、使い過ぎないこともポイント。
4)ポートレートもおさえる=お色直しの行き帰りなどを利用して、絞りを開けてのポートレートも花嫁に喜ばれます。但し、お客様が待っていますので手早く撮影。
5)カラープラスセピア調=コニカからセピア調のフィルム24枚撮ISO 400が発売されています。また、ILFORD XP2 SUPERで撮影し、カラープリントに焼いてもらうのも面白い(但し、この場合は一定のセピア調に揃わないことがしばしばあります)。また、場面によっては似合いませんので、カメラが2台必要になります。

*その他の注意点
1)横画面ばかりの写真ならないようにする 2)コンパクトカメラでストロボを使う場合、ストロボは上側にする 3)ストロボ光の届く範囲は3m前後 4)ストロボをセッティングするとシャッタースピードが自動的に1/125秒になるカメラがありますが、バックが暗くなるおそれがあ りますので、バックが重要な場合には1/60秒や1/30秒にするとバックが活きてきます。

 結婚式の写真は失敗しないために、カメラマンは余裕を持って明るい気持ちで撮ること、気後れしないこと、自分が撮ってほしい場面を考えて頼まれた新郎新婦に喜ばれるよう心がける、この3項目が最大のポイントになるでしょう。


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