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修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー

2017.08.25【Vol.1491】

オリンパス ペンS編(組み込み間違いです)

オリンパス ペンS

ペン系の持病である巻上飛びの症状でした。誰ぞが分解に挑戦したようで外観ネジの欠落が散見します。重要な部品に変形等や欠落が無い事を祈ります。
枚数計盤を外しましたら板バネが裏表に組み入れられています。(誤)の向きですと板バネを挟み込んでしまう恐れがありますね。(正)の組み込みなら板バネの内径がズレないようになります。参考にしていただければと思います。

オリンパス ペンS

巻上飛びの原因は多重巻上防止レバーを止めている2個のショルダーネジ(段ネジ)を取り違えた事で多重巻上防止レバーを押さえて仕舞い当該ネジを緩めたままにした事です。それとスペサーが?です。
次の画像で多重巻上防止レバーは厚みの異なる素材で構成されているのが分かります。

オリンパス ペンS

多重巻上防止レバーは2種類の厚みの違う部品で構成されています。と言うことはネジも厚さに応じた仕様になっています。2個のショルダーネジ(段ビス)のねじ切り径は同じでもショルダー部の厚みに違いがあるのです。ですので取り違えても収まってしまいます。けれども厚い部分に薄い用のネジですと押さえられて動かなくなります。

オリンパス ペンS

スペサー?の問題が残りましたね。この部分へスペサーが位置する記憶が無いのです。
①は枚数計窓と枚数計指標環が擦れる場合の調整でスペサーを入れることで両者の隙を広げます(レイヤー画像参照)。②と③は上カバーとダイキャストとに隙間が空いた場合に使われています。今回の個体は何処へスペサーが入れられていたかは不明でした。

オリンパス ペンS

もし2個のショルダーネジ(段ネジ)を間違えて多重巻上防止レバーに組み込んだ場合は厚さの違いで押さえられ、両赤矢印方向に動きません。
では多重巻上防止レバーが動く根拠を探してみますと引っ張りバネの作用で両赤矢印方向に動くことが分かります。動く必要が無ければ引っ張りバネ・ショルダーネジ(段ネジ)は必要なくなります。

ネジの種類と形状・用途に注意を向けることで取り違いを防ぐことが出来ます。
①メッキがされているか?いないか?で外装ネジと内装ネジの判断ができます。
②ネジ切りの違いを間違える事はないでしょう。
③ネジを外した時にネジ頭形状と止める側の形状を確認しておくことです。
④とある部品を外した際に使われているネジの本数を確認しておくことです。そうすれば1本を必要とするところに3本が使われていたネジを取り付ける間違いと過不足を防げます。

オリンパス ペンS

此方の画像はシャターセットされた際に両者の関係がわかります。
シャターセットされると多重巻上防止レバーは赤矢印方向に動くと共に黄色矢印方向に動きます。そして係止板の回転を停止させフィルム送りとシャターセットが完了します。
シャターセットが不足になりますと多重巻上防止レバーは赤矢印方向へ押されず巻上飛びの現象になります。
後に多重巻上防止レバーは3点構成に仕様変更となり、係止板掛かり量を微調整出来るようになりました。

オリンパス ペンS

分解中紛失しやすいのがコロで存在を知りませんと大問題が発生します。
常にペンのシャターを分解する場合、真っ先にコロを保存します。
シャターセットはシャターセットレバー&バネにより黄色矢印方向へ引っ張られ完了します。セットする際の直線的動作は大きな力を必要としますが、コロが回転することで軽減されます。シャターがセットされると多重巻上防止レバーが押されます。
と言うことはシャターセットされないと巻上飛びの原因につながります。

オリンパス ペンS

序でですので制御部を分解し、清掃注油を致します。

オリンパス ペンS

シャター作動レバー及び開閉環を外し清掃後、二硫化モリブデン粉を塗布します。

オリンパス ペンS

最後に肝心要箇所、シャター作動レバー軸とシャター作動レバーの注油を忘れてはいけないのです。清掃前のシャター作動レバー軸に錆が浮いているのが分かります。清掃後は輝いていますね。それにシャター作動レバー軸に括れがあり油溜まりになっています。
注油が多すぎますと湿潤し羽根油の原因になります。ですので注すというよりはピンセットに清掃紙を巻き、油分を含ませ塗ると過度の注油を防ぐことが出来ます。

隠居人 田口由明

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