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修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー

2014.03.07【Vol.1069】

Tanack TYPE-V3 編(懐が深い民具)

Tanack

在職時代けして手を入れてはいけないと言われたTanack。言われている程工作精度が悪いのか?機構自体の仕様が悪いのか?長年の疑問でもあり、Tanackを観ただけで「いけませんね!」と言葉に出してしまっていました。
ツアイスのドレイカイル(回転プリズム)式距離計も触れてはいけないと言われた機種です。
2枚の偏光レンズの組み合わせで平行移動させていくのですが、精密に加工された歯車と偏光レンズの調整が難しいのです。これは、偏光レンズの特徴を掴み調整法を会得しました。問題のTanackの長い間の疑念を紐解くことにしました。

プリズム

軍艦部を外したところです。距離計はプリズムを使用した良い作りに思います。

鋼球

シャター速度機構部のドラム軸に鋼球(赤○部)を組み込んであり、言われている程粗悪な作りでは無いようです。

底

底部は簡素でした。

パトロネ

問題は外観カバー(スカート)の外し方でした。
パトロネ室の2本のネジは直ぐに見つけることが出来ました。残りは何処に隠れているのか?

スプロケットカバー

白抜き(1)と(2)のネジを外し、スプロケットカバーを強制的に外しました。
すると外観カバー(スカート)を止めている残りのネジ2本(黄色数字)が顔を出したのです。
待てよ!組み立て時は面倒です。

スプール

スプロケットカバーを外すに邪魔になるのはスプールです。
となれば、スプールは簡単に外せる機構の筈ですね!
底部から三脚座を外し、三脚座を除けました。スプールの穴を覗くとネジ頭が見え、ネジを外すとスプールが分離できました。
仮説としてはスプールを最後に組み入れたのが正解ですね!
外観カバー(スカート)を取り付ける際にスプールが邪魔になりますので、最後にスプールを組み入れることになります。

スプール歯車

スプールを外しますと支えの無くなったスプール歯車が外れます。
組み入れの際は、スプール歯車に取り付けられているバネを逆転防止爪への咬合忘れに気を付けます。

遮光枠

最後に残りましたのが遮光枠です。遮光枠を固定している底部からの固定ネジ障害無く外せますが、問題は距離計コロの奥に位置する固定板です。

バネ

距離計は後の調整が面倒なので出来るだけ外したくはありません。
腑分けするには外さなければならないようです。
引っ張りバネの掛かりを外します。(1)~(3)のネジを外し、距離計コロを押し込みますと外すことが出来ました。

ネジ

赤○部2本のネジを外しますと遮光枠を外すことが出来ます。

懐

懐が深かったですね!幕軸に注油するに可成りの分解をしなければなりません。
Tanackは手を入れるなと聞かされていたのは腑分けが大変だったからでしょうか?
しかし、V3は思っていた以上にしっかりと作られていました。V3以前の機種は分かりませんし、今となっては確かめようがありません。
発売されたのが1958年で翌年倒産してしまいました。自前でバヨネットマウントレンズは供給されずアダプターを介してL39をしていたようです。
かなり資金面で行き詰まっていたのですね!お陰で市場に残っている数も少なくレッドブック入りです。

隠居人 田口由明

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