回転シャッターもチリチリ虫（ペンF編）

人気の機種で在庫が無くなりました。同僚が遠慮気味に急かすのです。
慌てて治療患者の順番を繰り上げることにしました。
個体数減少の中、物量感を保つのは難しいものです。まして綺麗な個体は尚更です。

本体からシャッター駆動部を下ろします。

スローガバナにチリチリ虫が住み着いてしまいました。
F系シャッターはレンズシャッターの延長線にあり、常にスローガバナがシャッタースピード制御に関与しますので格好の住処になるんですね！
クワガタ虫に似て複雑な形状のスローガバナをAベンジン浴させ注油します。

余り使用されなかったのか？ブレーキゴムにグリスが残っておりましたが、グリス切れになりますと焼き付いたり、錆び付いたりで致命傷になります。
スローガバナ駆動カムの逆ネジを外し、分解していきます。

シャッター機構部の作業には専用治具が不可欠です。
チタン幕の位置出し、部品の分離の際に必要なのですね。
作業中の薄いチタン幕の損傷を防ぎます。

グリスが不足しますとブレーキゴム保持環の内側までもが錆びまして内径が大きくなって仕舞います。その際は、錆取りをしまして専用グリスを塗布します。
ブレーキゴム保持環は内径の違う種類が用意され、罫書き線の数で判別していました。
最適なブレーキゴム保持環を選び出し調整をします。

シャッター機構部の裏側まで見せちゃいますね！扇を開いた形のチタン製膜です。
長い間回り続けて良く目が回らないものと感心します。

日本橋店中古売場　田口由明