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蛍を撮るVol.119 2013年06月07日更新

今回は蛍を撮ってみました。5月末ごろ、読者の方から「来月蛍を見に行くので蛍の撮り方を教えてください」というリクエストがきていました。さて困った、実は蛍の作例は持っていない、というより蛍を撮るどころか実物も見たことがないのです。でもお役に立てればと思い、いくつか撮りためしてみたので参考にしてください。地元の蛍が飛び始めたので急いで撮ってきました。蛍を見に行く日に間に合えばよいのですが。

多重露光か長時間露光

なにしろ暗い中でかすかな光を撮るわけですから長時間露光になることは間違いありません。三脚は必須です。それと当然ですがノーストロボです(ストロボの光は蛍にとってものすごく迷惑だそうですから絶対使わないでください、使っても写りませんし)。機材は一眼レフでいきましょう。ちょうどリクエストがきたころ、新聞に蛍の写真が掲載されていました。キャプションに「37回多重露光」と書いてありました。普通蛍の写真は長時間露光で蛍が飛ぶ軌跡を主役にしますが、その写真は、わざとぼかした蛍を丸いボケにしたものを多重露光でたくさんいるように見せていました。幸い私が使っているニコンの一眼レフには多重露光の機能がついているので、これも使ってみることにしました。

ピントの問題

撮影場所は地元の蛍スポットです。蛍を保存する団体が管理しているのでけっこうな数の蛍が舞うのですが、当然のことながら街灯などはなく真っ暗です。蛍のためを思えば懐中電灯も点けないほうがいいとのことでした(明るくすると蛍が光らない)。ISO感度は2000に合わせ、絞りは解放、露出はマニュアルです。あまりの暗さにAFが使えず、ピントもマニュアルにしましたが、「暗すぎてピントが見えない」という問題に直面。その結果記念すべき初蛍写真は[作例(1)]のようなものでした。ボケボケです。ちなみにシャッター速度は30秒です。ピントあわせの頼りになるのは蛍のかすかな明かりだけです。仕方なく、蛍が光っている間に急いでピントを合わせて撮ることにしました。普通に蛍の軌跡を撮るなら30秒くらいのシャッター速度で撮っていいと思います。

作例(1)ピントが見えない

作例(1)ピントが見えない

多重露光は10回以上

撮りあえず今回は多重露光を使ってみようと思っていたので、撮影メニューから多重露光を選択し、回数を10回、自動ゲイン補正(何回も撮った画像を合成するとき適正露出にする機能)をOFFにします。これは蛍の光をそのままの明るさで合成するためです。「どうせ画像処理で合成するんだからパソコンでやればいいじゃん」と突っ込まれそうですが、フィルム育ちのカメラマンである私にとって「パソコンで合成」はちょっと後ろめたいのですが、「多重露光ならずるくない」という意識が心の隅にあるのです。べたっとした黒の中に蛍の明かりだけが浮かんでいるのではちょっとつまらないと思っていたので、まずは背景を出すために最初の露光は5秒、そしてシャッター速度を1秒にセットして蛍が光った瞬間を狙って9回シャッターをきりました[作例(2)]。ですから全部でシャッター速度は14秒になる計算です。

作例(2)多重露光を使う

作例(2)多重露光を使う

背景もバランスよく

作例2では「背景が味気ないなあ」という印象だったので広く風景を入れてみたのが作例3です。この時は水面の空の映り込み部分でAFでピントを合わせました。シャッター速度は作例2と同じで5秒で1回、1秒で9回でした。何しろ予測不能な生き物相手の撮影なので何枚も撮るつもりでいきましょう。ちなみに蛍が一番活発に光っていたのは19:30前後で、20:30を過ぎるとだいぶ数が少なくなってしまいました。

作例(3)背景もバランスよく

作例(3)背景もバランスよく

事前準備

今回一番手間取ったのはピント合わせと、多重露光のセットと撮影です。普段多重露光をあまり使っていなかったので不慣れな作業のため、シャッター速度を変えるのを忘れたり、回数を数えるのを忘れたりとずいぶん手間取り、何度も撮り直しました。できれば昼間にトレーニングしてから行ったほうがいいと思います。今回は2日間撮影しましたが、多重露光に慣れた分2日目のほうがずっとスムーズに撮影することができました。多重露光のセッティングも明るい場所で先に練習しておくいいでしょう。


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