自分の感動を突き詰め、研究したものが
いい写真につながる。

　このコンテストは純然たる風景ではなく、人の生活が入っている風景ということが特徴だ。そのような作品の中から、時代の流れが濃く感じられたり、今までとは異なる感性が入っている写真が上位に入ってくる。今のカメラは性能が良くなっているので、シャッターを押せばうまく写せてしまう。だから、何を表現するか、何に感動して撮るかが重要。撮影者の持ち味がにじみ出て初めてその人の作品になる。感じた物が１００パーセント表現されていると、写真の方から審査員に訴えかけてくる。写真愛好家のみなさんに言いたいことは、まず感動すること。写したいテーマを見つけ、それを探し求めること。感動があれば伝える力はそれだけ強い。人は撮影する前に、画面構成を頭に描き、それに近づけるように写真を撮りがちだが、そのような作品には人を動かす力がない。固定観念を持たないで、感動をしたことを素直に表現すると、迫力がある作品が生まれてくる。

この写真が撮りたかった、と
手応えを求めて私たちは写真を撮り続ける

　美しいプリントが多く応募され、迫力と見応えがあった。１枚１枚の完成度が高く、スケールを感じさせる作品が多く寄せられた。自分もこういう所に行ってみたい、また、この場所は知っているがこうした撮り方もあったのかと感心させられる作品が多く入賞した。それはこのコンテストの大きな特長だと思う。写真集を見て刺激を受けて、自分も撮影してみようという流れが生まれるのは、とても面白いことだと思う。ある場所へ行ったら、自分なりの見方、アングルでとらえることが大事だ。ただきれいであるだけではなくて、ドラマチックな風景からストーリーを連想させることが大切なのだ。シャッターチャンスを逃さないためには、現場で撮影者が自分の気持ちを高めて、わずかな状況の変化にも反応できることが大切だ。この場面が撮りたかった、と自らが手応えを感じて撮影する。その手応えを求めて、私たちは写真を続けているのだと思う。