審査員 三好和義氏
みよしかずよし
1958年、徳島県生まれ。13歳の時に沖縄を訪ねて以来、タヒチ、モルディブなど、世界各国で「楽園」をテーマに写真を撮り続けている。写真集「RAKUEN」で木村伊兵衛賞を受賞。日本ユネスコ協会の依頼で公式に日本の世界遺産全てを撮影。2004年藤本四八写真文化賞を受賞。四国八十八ヶ所の作品は切手にもなって発行されている。



前回にも増してデジタルカメラによる作品が多く集まりました。そして、その中から入賞作品が多く生まれたことは、時代を反映しているように思います。きれいな色が再現できる銀塩の方が必ずしも有利ということはありません。デジタルカメラだからこそ今まで撮れなかった写真が撮れるようになったり、撮っている時の楽しい気持ちが写真に表れる。そういうところが面白かった点です。デジタル写真を生かすコツは、撮るときはもちろんですが、プリントする時にシャープネスをかけるなど、後工程でも一工夫し、さまざまな仕上がりを試してみることです。それが、今後デジタル写真で応募していただく場合の課題のひとつになっていくと思います。
カメラ:オリンパスE-1
レンズ:7-14mm
絞り:f11
シャッタースピード:AE 1/200

この作品は、銀塩カメラではうまく撮影することができないアングルを、デジタルカメラによって可能にした点が特徴的です。タンポポよりも低い位置にレンズがあるので、シャッターを切るたびに、繰り返しモニターで確認しながらの撮影だったと思います。このようなことができるのもデジタルカメラならではです。まるで冬眠から覚めたカエルのような気分にさせてくれる作品です。また、バックの青空の透明感と、タンポポの黄色い花のコントラストで、春の空気感をうまくとらえています。写真の撮り方における新しい手法で、他のカメラマンたちにも刺激を与える1枚です。
応募作品を見てみますと、前回にも増してレベルが上がってきていることがわかります。例えば、鳥や昆虫の写真でもただ偶然に撮ったのではなく、ちゃんと計算してシャッターを押したことがわかるものが多くありました。しかし、ピント・露出・ブレなどがまだまだなので、写真の基本的な部分にはもっと気を使っていただきたいと思います。また、同じ被写体を撮るのでも、今まで使っていたものとは違うレンズで撮るなど、見方を少し変えてみるだけでも新鮮な発見があるはずです。ぜひチャレンジしてみてください。
審査員 増田勝正氏
ますだ かつまさ/1945年東京都出身。
愛犬雑誌のカメラマンを経て現在フリーの動物カメラマン。アイメイト(盲導犬)のボランティア活動にも参加し、自ら犬、猫の繁殖・育成にかかわっている。
カメラ:ニコンF100
グランプリ寸評
この作品はシャッターチャンス・アングル・露出・フレーミングなど、すべてにおいて大変に優れています。2匹の子犬の表情の違いもほほえましく、女の子の横顔もとてもよく撮れています。逆光気味の光の使い方もよく計算されていて、画面から見る人の心に伝えようとするものを強く感じます。初めて目にしたときから印象深い1枚でした。
春ということで、桜をはじめ菜の花・レンゲなど、屋外でお花と一緒に撮影されたものが数多く集まりました。このように風景とこどもたちをひとつの画面で表現することは、よくある手法ですが、どこかで見たような作品になりがちです。上位を目指すのであれば、オリジナリティのある新鮮な切り口を心がけてください。また、同じレベルの作品から入賞作を選ぶ時は、こどもの表情やバックの生かし方などの面白さが決め手となります。これらのことを踏まえて、次回の応募に生かしていただくことを期待します。
審査員 沼田早苗氏
ぬまたさなえ/1968年大竹省二氏に師事。1978年フリーの写真家となり商業写真、取材写真を手がけ、ライフワークとして著名な男性のポートレイトを撮影。写真展には「私の写交録」「みんな・みんな・蒼き狼」「もう一人の日本人」などがある。
カメラ:キヤノンEOS 1-Ds MarkII
グランプリ寸評
この作品のポイントはこどもの目線の活かし方です。撮影者もカメラを低く構えたことで、こどもと対話しているような感じになっています。また、広角レンズを使い、こどもを手前に配したフレーミングで、天候や田んぼの状況もよくわかります。そして何よりも、田植えを楽しんでいるこどもの表情がうまく表現されています。
応募数も前回を大きく上回り、応募作品全体のレベルもかなり上がってきています。しかし、ひとりで同じような写真を何枚も応募する方もいます。自分が撮った写真の中から、どのカットがいちばんいい作品なのか、コンテストの応募にふさわしいのはどれかなど、自分で選り分ける眼を持つのも、大事なことのひとつです。このように写真では、いい被写体に対してシャッターを押すことだけではなく、きちんとプリントを行い、さらに、その中で選別をするなど、後工程も重要なプロセスなのです。
審査員 サンダー平山氏
サンダーひらやま/1956年千葉県出身。日本大学文理学部物理学科自主卒業後、日本写真芸術専門学院発展的除籍。CMカメラマン、ファッションカメラマンなどの助手を経験した後にテレビ屋もかじる。つまり助手経験めちゃくちゃ豊富。そしていつのまにかサンダー平山となる。著書とっても多数。
カメラ:ニコンF100
グランプリ寸評
やはり、猿は人間にいちばん近い動物なので、温泉で気持ちよさそうに寛いでいる光景は、見る人が自分にも置き換えやすく、共感が得られるのだと思います。撮影場所・被写体の選び方にも優れています。さらに2匹別々の表情の一瞬をとらえたところに、作者の確かなテクニックを感じます。

※敬称は略させていただきました。



各種グランプリ

腕自慢部門

※腕だめし部門
テーマ1(いきもの):特選・準特選・入選
テーマ1(こども&赤ちゃん):特選・準特選・入選
テーマ1(自由作品):特選・準特選・入選
テーマ1(いきもの):佳作・カメラのキタムラ賞
テーマ1(こども&赤ちゃん):佳作・カメラのキタムラ賞
テーマ1(自由作品):佳作・カメラのキタムラ賞